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医学書院『病院』に「松前町立松前病院の医療再生(後編)」を寄稿しました

医学書院『病院』の11月号が刷り上がってきた。

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11月号では「松前町立松前病院の医療再生(後編)」を寄稿した。


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9月号の前編で木村眞司前院長が医師・医学生の研修の充実を図り医師が勤務したくなる病院をつくり経営を改善してきたことを書いた。

11月号の後編では、木村前院長がどのようにして辞表を提出せざるを得ない状況に追い込まれたかを具体的事実を踏まえて書いた。


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最後に木村院長の退職による松前病院の医療崩壊が松前町の消滅を加速させる可能性が高いことを指摘している。
他の地方議会など自治体関係者、自治体病院関係者の参考となることを期待している。


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地域医療・自治体病院のマネジメント2016/10/20(木)18:14

第1回地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会

地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会の第1回の会議に出席した。

今回の現場病院や首長の委員の多くが地方ないし中小の病院の関係者が多く、厳しい現状を訴えておられた。

委員会は基本、地方財政措置をどうするか、自治体病院への地方交付税をどうするかの会議である。

しかし、それを超えて地方に医療をどのように残していくか、超少子高齢化・人口減少の時代に自治体病院はどのような貢献を図っていくかという大きな議論も視野に入れて議論をすることが必要と再認識した。

伊関もきちんと議論をしていきたい。


会議


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/09/13(火)20:15

総務省「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」の設置

総務省が「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」という会を設置することとなった。

伊関も縁あって委員に就任することになった。

自治体病院にとって非常に重要な研究会になると考えている。

9月13日(火)の午後2時から第1回目の会議が開催される予定である。

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000145.html


報道資料

平成28年9月8日
自治財政局準公営企業室

「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」の開催

1.趣旨・目的

 国においては、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(平成25年法律第112号)に基づく措置として、都道府県による地域の将来の医療提供体制に関する構想(以下、「地域医療構想」という。)の策定を要請してきたところである。

 また、総務省では平成27年3月に「新公立病院改革ガイドライン」を示し、各地方公共団体に対して平成28年度中に新公立病院改革プランを策定の上、改革に取り組んでいただくよう要請したところである。

 こうした状況にある中、公立病院をめぐる経営環境や、地域医療構想を念頭に置いた医療提供体制の改革の動向等を踏まえ、地域における医療提供体制の確保や公立病院の更なる経営改革を推進する観点から、このたび当省で調査研究会を開催し、学識経験者や公立病院の経営に携わる者など専門的かつ優れた見識を有する者に意見を伺いつつ、公立病院に対する施策の在り方等について検討を行うものである。

2.委員
 別紙委員名簿のとおり
http://www.soumu.go.jp/main_content/000438441.pdf

3.スケジュール
 平成28年9月より開催し、平成29年度中に成果を取りまとめる。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000438332.pdf


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/09/09(金)12:11

内閣府経済財政政策「政策課題分析シリーズ」『公立病院改革の経済・財政効果について-「地方公営企業年鑑」による個票データを用いた分析』

伊関が有識者研究会委員となった、内閣府の経済財政政策「政策課題分析シリーズ」『公立病院改革の経済・財政効果について-「地方公営企業年鑑」による個票データを用いた分析』が公開された。

担当は内閣府政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(企画担当)付

報告書 政策課題分析シリ-ズ10 公立病院改革の経済・財政効果について-「地方公営企業年鑑」による個票データを用いた分析-
http://www5.cao.go.jp/keizai3/seisakukadai.html

データを基にした議論を行い興味深い結果が出た。

議論では、病院における人材投資の重要性(職員定数の撤廃)、不採算地区の小規模病院の経営の難しさについて訴えた。

報告書の主な分析の結果としては
○ (図表1について)医業損益変化の分岐となった主要因は、医業収益の変化であり、医業費用を抑制して経営改善を果たした病院は、相対的に少なかった。

図表1


○ (図表2について)医業収益は大規模病院ほど増加し、規模が小さくなるにつれ減少していた。また、規模に関わらず平均単価は医業収益にプラスの寄与となっており、特に入院患者の平均単価はプラス効果が大きかった。患者数の変化は、全てのグループでマイナスの寄与であり、特に不採算地区の病院では、患者数の減少効果が平均単価の上昇効果を上回り、全体の医業収益を減少させる結果となっていた。

図表2


○ 公立病院改革の実施期間における経営改善の度合いとその構造には、病院の規模や立地条件といった環境によって、相当な差異が認められた。今後の人口減少等が一層進む中で、公立病院が地域のニーズに応じ、採算確保が困難な特殊医療も提供しつつ、独立採算を目指すためには、各公立病院が直面する環境に合わせた経営改革の処方箋を描くことが必要である。

としている。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/08/16(火)18:27

北海道新聞 斉藤勝前議長の解職請求へ 松前町民有志、病院長退職の責任追及

松前町の斉藤勝前議長への一部町民の解職請求についての北海道新聞が記事です。

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/donan/1-0297384.html

斉藤前議長の解職請求へ 松前町民有志、病院長退職の責任追及
07/27 07:00

 【松前】町内の住民組織、地域医療を見守る会(樋口幸男会長)の会員有志らが、前町議会議長の斉藤勝(まさる)町議(73)の解職請求(リコール)を検討していることが26日、分かった。町立松前病院が求める地方独立行政法人化(独法化)検討を遅らせ木村真司院長の退職を招いたとし、8月にも町選管に解職請求する。

(略)

 同会の川内谷直志副会長は解職請求の理由について「不信任決議案は否決されたが、道義的責任をとり議員辞職すべきだった。独法化に関する町議会調査特別委員会でも、いたずらに検討を遅らせる質問や資料請求をした責任は重い」としている。同会の有志らは、近く新たな住民団体を設立し、8月にも町選管に解職請求に踏み切る構え。

詳しくは本文をご覧ください。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/07/27(水)22:09

松前町民の有志が前松前町議会議長の町議会議員の解職請求(リコール)を検討

松前町民の有志が前松前町議会議長の町議会議員の解職請求(リコール)を検討しているという情報が入った。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/07/27(水)08:18

松前町立松前病院の医療再生(前編)

医学書院『病院』9月号の「事例から探る地域医療再生のカギ11」に掲載予定の「松前町立松前病院の医療再生(前編)」について、今回は予定稿を先行してネットで掲載します。

7月31日で退任される木村眞司先生の行われた松前病院での医療再生について、その成果を確認するものです。

『病院』本編に掲載の時は修正される可能性があります。

追記、『病院』編集部さんより、全文掲載はご遠慮いただきたいとの要望があり、一部を削除しました。

残りは『病院』9月号をご覧ください。


松前町立松前病院の医療再生(前編)

■ 何が問題だったのか

①医師雇用に苦しむ過疎地の病院
 北海道松前町は、北海道最南端の渡島半島南西部に位置する町である。かつては、松前藩の城下町として政治・経済・文化の中心地として栄え、北海道では唯一の城のある町である。函館から車で2時間(95Km)と交通不便地にあり、漁業や水産加工、観光などの従来からの主要産業は衰退の傾向にある。人口も減少傾向にあり、1970年の国勢調査で18,624人いた人口は2010年には8,750人と半分以下になっている。

 松前町の設置する町立松前病院(100床)は、1990(平成2)年11月に北海道立病院から移管され、町立病院として運営されてきた。北海道のへき地の病院に共通の問題として、医師の雇用に苦労しており、高い医師報酬を支払っても医師は定着せず、診療の姿勢に問題ある医師も多かった。

 医師雇用が不安定なこともあって病院の収益も伸び悩み、2001年には手持ちの現金は枯渇し、一時借入金に頼る経営に陥る。一時借入金の総額は2005年に5.5億円に達した。道立病院時代の1978年に建設された病院の建物も老朽化し、電気設備・配管設備が劣化しており、建て替えが急務となっていた。

■どのような手法がとられたか

①小本清治事務次長の着任
 1998年8月、町部局から小本清治氏が病院の事務次長に着任する。小本次長は、松前町で企画課課長補佐として総合計画策定や行政改革の仕事を担当し、病院は初めてであった。小本氏は抜きん出た企画力・洞察力・行動力を有し、町長や上司に直言することをいとわない性格で、経営が悪化していた松前病院の建て直しのため数ある職員の中から選ばれて送り込まれた(当時、2人の事務長が就任したが、2人とも病院で入院し、4年間不在状況にあった)。

 小本次長は、病院に着任して医師の雇用が不安定であることを強く感じた。関連の医科大学から専門医の派遣を受けているものの数は少なく、公募の医師に頼らざるを得なかった。公募の医師の報酬は高い一方、診療の姿勢に課題があり、短期間で病院を辞めた。

 医師の雇用問題を解決するため、小本次長は2000年11月に町長や町議会議員と共に自治医科大学地域医療学センター長の梶井英治教授を訪問した。訪問は医師を送ってほしいというのではなく、どのようにすれば医師が勤務するかについてについて教えを受けることが目的であった。梶井教授から、へき地の病院で全ての診療科で専門医を雇用するには限界があること。患者の身体や心を総合的に診る総合診療医が診療を行うことが効果的であることを教えられた。

 その後、小本次長ら松前病院関係者は、梶井教授に紹介された札幌医科大学地域医療総合医学講座の山本和利教授を訪ねた。そして、同講座の助手を務めていた木村眞司医師との関わりが始まる。2001年4月、同講座は濱口杉大(すぎひろ)医師を松前病院に派遣する。濱口医師は、舞鶴市民病院・天理よろづ相談所病院を経て関西医科大学附属病院で勤務していたが、同講座関係者の誘いを受けて医局員となった。当初、濱口医師は別な地域の病院に勤務する予定であったが、勤務地で不都合が発生したことから急きょ松前病院に勤務することになった。

 濱口医師が病院で担う仕事の一つは、札幌医科大学で地域医療を志す医学生の実習を松前病院で受け入れることであった。濱口医師が松前病院に派遣された以降、毎年数多くの医学生が松前病院で実習を行うこととなった。当時、小本次長は北海道の最南端のへき地病院に数多くの医学生が実習で訪れることに正直驚いたという。小本次長を始めとする松前病院関係者は全力で学生への対応を行う。学生の旅費、衣食住は全て病院負担。歓迎会と送別会は必ず行った。学生が病院関係者と酒を酌み交わし、総合診療やこれからの医師としての人生について熱く語ってもらった。松前町の良い所も見てもらった。

 2002年1月には、講座と松前病院の間でテレビ電話を使ったインターネット会議が始まった。インターネット会議は、後述の「プライマリ・ケアレクチャー、プライマリ・ケアカンファレンス」につながっている。当時、松前病院はインターネット会議に最初に手を上げ、当時最新のADSL回線を導入した。松前病院に頼むと、小本次長や担当職員の手配で物事がすぐに進んだという。

 小本次長ら松前病院関係者は、濱口医師ら病院内の総合診療医の活躍を見て、札幌医大の地域医療総合医学講座から総合診療医の院長の招へいを図る方針を固め、派遣依頼を行う。

 
②木村眞司院長の赴任
 札幌医大の地域医療総合医学講座は、松前病院への院長派遣の要請に対して派遣することを決断し、最終的に木村眞司助手が松前病院に院長として派遣されることになった。木村助手は、小樽市出身で札幌医科大学を卒業後、横須賀米軍基地インターン、米国で家庭医療科研修医(インディアナ州テレホート市ユニオン病院)、老年医学研修医(ミネソタ大学)として経験を積み、茅ヶ崎徳洲会総合病院に勤務後、2000年10月に講座の助手となっていた。

 当時、木村医師はへき地医療の実践を行いたいという想いがあり、小本次長などの松前病院関係者の対応がよく、松前病院であればよい仕組みづくりができるのではと考え、院長就任を承諾した。小本次長は、まさか木村助手が院長に就任するとは考えていなかったという。

 2005年11月、木村眞司医師は41歳の若さで松前病院の院長として赴任する。当時の松前病院の勤務医の中で2番目の若さであった。木村医師が院長として松前病院に赴任して感じたのは、時代遅れの診療を行っていることであった。例えば、内科外来のルールとして患者は診察室で上半身裸となり、バスタオルで身を包んで診療を待つこととされていた。また、医師がそれぞれ勝手なやり方で仕事をしていた。

 木村新院長は、よい医療を提供するには、医師をはじめとした全ての職員が標準的な医療を行うことが必要と考え、まず医師の研修体制の構築に取り組む。試行錯誤の上、月曜日に医局会、火曜日・金曜日に症例カンファレンス、水曜日・木曜日はインターネット勉強会が行われることとなった。そして、初期研修医や医学生の研修を積極的に受け入れることとした(図表1)。2009年には家庭医療後期研修のプログラムの認定を受け、翌年には後期研修医の受け入れを開始した。


図表1



 若手医師の研修体制を充実する一方、必要以上に高い医師給与は見直した。具体的には①医師給与表を改定して全体に下げ、かつ毎年の昇給幅を小さくし、卒後満20年で昇給停止にした(木村院長も2009年3月末で昇給停止となっている)、②研究研修手当が支給されているため、二重手当になる医師の研究研修旅費を廃止した、③高すぎる手術手当(診療報酬の20%)を廃止した。2008年5月には全科診療医(総合診療医)中心の病院を標榜し、研修体制に魅力を感じる若い医師が集まる病院と変わっていった。

 その結果、図表2のように医師数を増やすと共に医師報酬の抑制を実現した。このことは病院経営に良い影響を与えることとなった。


図表2



 医療提供については、小本次長の提案を受け2006年8月に透析を開始する。それまで、松前病院では透析を行っておらず、透析患者は函館市内の医療機関に通うか、住むか、あるいは67Km先の江差町の道立病院に通うしかなかった。当初は5床で開始し、現在は10床で運用している。

 また、患者の利便性向上と集患のために病院への送迎バス運行を隣の福島町まで延伸し、途中から新たにバスを購入して2台体制とした。これらは前田一男前町長(現衆議院議員)の理解によって実現した。医師数の増加にあわせて、図表3のように隣の福島町を含めて積極的に救急患者の受け入れを行う。救急患者の積極的な受け入れは病院収益の改善に貢献することとなる。


図表3




③看護部長の招へい
 松前病院の問題点として医師だけでなく、医療職員の医療水準や意識の低さがあった。特に、病院の要である看護部は旧態依然としており、病院の経営状況も意識せず、業務改善の意欲も乏しかった。このため、函館協会病院で看護副部長をしていた藤田恵子氏を1年かけて看護部長に招へいした(2009年)。藤田氏は松前出身で、小本次長と松前高校の同級生であった。藤田氏も、看護師人生の最後に故郷に貢献しようと30数年ぶりに松前に戻ることを決断した。藤田看護部長の着任で、看護部の中で毎日ベッドを埋めることが大切など、看護部職員の意識が改革されていった。2007年には看護職員向けの修学資金制度が創設され、後に看護師雇用に威力を発揮することとなる。



④過疎地の地方交付税の大幅増額
 経営改善に取り組む木村院長・小本次長ら松前病院関係者に追い風が吹く。2008年7月、総務省は「公立病院に関する財政措置のあり方検討会」を設置した。縁あって筆者も委員となった。検討会は2007年12月に公表された「公立病院改革ガイドライン」を受けてのものであったが、会議では相次ぐ自治体病院の崩壊を受け、地域医療を守るためには必要な財政支援を行うべきという議論が多く出された。

 同年11月に報告書が公表されたが、「必要な医療を効率的に提供するため、公立病院改革推進の視点も必要」という意見に加え、「地域医療の確保の観点から、過疎地における医療、産科・小児科・救急医療に関する財政措置は充実の方向で対処すべき」「各地方公共団体においては、所定の経費負担区分ルールに従い、一般会計等から適切な繰入が必要」 などの意見が盛り込まれる。報告書を踏まえ、2009年度より過疎地の自治体病院の地方交付税が大幅に増額された。地方交付税の増額により松前病院に対する松前町の一般会計繰入金が増えることとなった。


■ 成果

①経常収支比率は大幅改善
 医師雇用の安定による病院財務の安定、地方交付税の増額による一般会計繰入金の増額により、松前病院の経常収支比率は、図表4のように急改善する。


図表4




 図表5のように2007年に約5.8億円あった一時借入金は病院特例債に借り換えた上に、病院特例債も2015年度に全て返済した(病院特例債の返済のための元金分は、町の一般会計から病院会計に繰り入れられた)。2015年度末には松前病院事業会計は4.9億円の現金を持つに至る。懸案であった病院の建て替えも視野に入れられる状況となった。


図表5

以下は『病院』9月号で掲載することとします。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/07/19(火)16:32

医学書院『病院』 2016年7月号「特集 地域づくりの核としての病院」巻頭言

医学書院『病院』 2016年7月号「特集 地域づくりの核としての病院」の巻頭言です。

http://www.igaku-shoin.co.jp/misc/byoin/7507.html

巻頭言
特集 地域づくりの核としての病院
 現在,わが国は世界でも例を見ない少子化・高齢化・人口減少社会に突入している.現状のままで何もしない場合,高齢化が進むとともに,人口の減少の幅が年々大きくなり2008年に1億2,808万人いた人口が,2110年には4,286万人にまで減少する.

 人口減,少子化,高齢化の進行により,経済規模の縮小,国民の生活水準の低下,地域の消滅など,日本という国そのものが危機に直面する可能性が高い.

 少子化・高齢化・人口減少を解決していくために,病院の担う役割は考える以上に大きい.

 何よりも重要なのは「地域の健康を支え,地域の崩壊を食い止める」という役割である.医療のない地域では,人は安心して住むことができず,移住せざるを得なくなる.

 また,「地域の雇用を支える」という面もある.医療は介護とともに地方において雇用を伸ばしている唯一の産業である.さらに言えば,地方の病院は,都市と地方の税の格差を埋める再分配機能を有している.

 「医療や介護の持つ求心力により地域づくりを行う」という役割も大きい.少子化・高齢化・人口減少社会は,医療機関や介護施設への期待が高まる時代でもある.地域を活性化するために,医療や介護の持つ求心力をまちづくりに使うことは,これからの地域にとって重要な視点となる.

 さらに,「都市から地方への移住を支える」という視点もある.最近,都市から地方への人口の新しい流れとして「日本版CCRC」に関心が集まっている.都市から地方への移住の実現のためには,医療や介護の充実が必要条件になる.

 巻頭の対談において,元三重県知事で早稲田大学名誉教授の北川正恭氏は,「過去はこうだった」という「事実前提」から,「こうなりたい」という「価値前提」の地域づくりの重要性を指摘された.

 人口減少の流れを変え,日本という国を存続させていくためには,過去の経緯にとらわれず,新しい価値を創造する地域づくりを行っていく必要がある.病院は,価値創造の地域づくりにおいて重要な施設の一つである.

 本特集では,多様な事例を交えて地域づくりの核として期待される病院のあり方について考える.

                 城西大学経営学部 伊関 友伸


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/07/04(月)11:06

医学書院『病院』 2016年7月号「特集 地域づくりの核としての病院」

伊関が企画を担当した、医学書院『病院』 2016年7月号「特集 地域づくりの核としての病院」が発行された。

「地域づくりの核としての病院の意義」という論文を書いているほか、早稲田大学名誉教授で元三重県知事の北川正恭先生と対談を行っている。

また、事例から探る地域医療再生のカギ[10]では、「東近江市の国公立3病院の医療再生」について紹介している。

http://www.igaku-shoin.co.jp/journalDetail.do?journal=36912

『病院』2016年07月号 (通常号) ( Vol.75 No.7)「特集 地域づくりの核としての病院」

 少子化・高齢化・人口減少社会において,病院は地域の住民に医療を通じて安心を提供するための施設であり,また同時に地域の重要な雇用の場でもある.
 このため,最近では病院をあげてまちづくりに取り組む事例も増えてきており,病院は地方創生の最も重要な施設の一つであるとも言える.
 本特集は,地域づくりの核として期待される病院のあり方について,具体的な事例を交えて考える.

巻頭言 伊関 友伸
地域づくりの核としての病院の意義 伊関 友伸
病院を核とする「まちなか集積医療」の成否 豊田 奈穂
日南市のまちづくりにおける医療・病院の意義 地域医療対策室の活動を中心に 崎田 恭平

[事例]地域に愛される病院とそれを支える住民
 次世代の定着を目指す星総合病院の試み 星 北斗
 寺岡記念病院の「コモンズ」の試み 医療・介護・福祉を包括するトータル&シームレスな地域ケアづくり 寺岡 暉
 地域住民が運営するあかびら市立病院食堂「ぼらん亭」 黒坂 順子
 倉敷市の住民参加型地域連携「わが街健康プロジェクト。」 十河 浩史

■対談
地域の基盤としての病院の価値 北川 正恭 × 伊関 友伸

■研究
Technology indexを用いた病院機能の総合評価 森田 光治良,ほか

●Data mania[19]
社会医療診療行為別調査 × 将来推計人口 村田 耕平
●アーキテクチャー × マネジメント[19]
医療福祉建築賞2015 山下 哲郎
●ケースレポート 地域医療構想と民間病院[7]
社会医療法人財団 董仙会 恵寿総合病院 -施設品質から地域品質へ:変化の先頭に立つ経営 松田 晋哉
●事例から探る地域医療再生のカギ[10]
東近江市の国公立3病院の医療再生 伊関 友伸
●病院組織コーチング[2]
[コーチング概論・1]リーダーに求められる条件 桜井 一紀
●病院勤務者のためのDPCデータ解析入門[4]
厚生労働省公開データの分析(3) Accessによる加工 村松 圭司


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/07/04(月)11:02

7月9日松前町で「『まちの病院がなくなる!?』ではなく『まちがなくなる!?』医療崩壊の現実」というテーマで講演をします

7月9日松前町で「『まちの病院がなくなる!?』ではなく『まちがなくなる!?』医療崩壊の現実」というテーマで講演をします。

シンポジウムのフェイスブックページ
https://www.facebook.com/DonanFuture/


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/30(木)07:39

松前病院の医師退職がもたらすもの

現在、作成中のスライドの一部を紹介する。

図は、国立社会保障・人口問題研究所の『日本の地域別将来推計人口』(平成25年3月推計)より作成した2025年の松前町の5歳階級別の人口グラフである。
松前町2025年

周辺の自治体に比べても低い合計特殊出生率、人口の自然減・社会減で、2025年の時点で少子高齢化が進む。
松前病院の医師退職による医療提供能力の弱体化は、入院・外来などの医療を受けることのできない高齢者の町外流出、小児医療を受けることのできない子育て世代の町外流出を招き、松前町の消滅を一層加速させる可能性が高い。

松前病院の医師退職は病院だけでなく、町の存続そのものに関わる問題である。
「まちの病院がなくなる!?」ではなく「まちがなくなる!?」可能性がある。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/25(土)13:01

7月9日松前町で講演をします

7月9日に松前町で講演をします。
町民有志の方々のお招きです。
現在、スライドを作っています。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/25(土)12:52

議会・行政の不理解

全国を回っていると今日においても議会・行政が理解なく、存続の危機に直面する自治体病院が少なくない。
そのいくつかは過少繰り入れで、本来地方交付税により措置され、自治体病院に繰り入れられるべきお金を自治体本体に入れて、自治体病院に繰り入れない。
繰入金ルールを超えた赤字補塡は問題だが、本来繰り入れられるべきお金が繰り入れられず病院が危機に直面するのも問題である。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/19(日)19:19

ERから地域医療へのブログ更新

松前病院に勤務されておられるドクターのブログが更新された。

木村院長は
「冷たいように感じるかもしれませんが、皆さん町民で町を変える行動をして下さい。」
という旨の発言をされたようである。


ERから地域医療へ
https://from-er-to-local.blogspot.jp/2016/06/blog-post_17.html


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/17(金)07:36

町立松前病院の3年間の経緯について

松前病院の木村院長が辞任をした原因は、新聞記事のように地方独立行政法人の議案に対する町との考えの相違だけでない。

3年間の簡単な経緯を示す。
なお内容については木村院長の確認をいただいている。
松前町には確認していないので一方からの確認ではあることに注意されたい。

3年前、木村院長(病院事業管理者)の片腕として力をふるい赤字病院を黒字病院に経営再建をした事務長の再任用をめぐって病院と町・議会の意見が対立した。

黒字決算を町議会が不認定とし、また、2013年4月23日に町長と木村院長の間で結ばれた覚書のほとんどが履行されなかったことで、2013年9月27日木村院長は辞表を提出した。

木村院長とともに10名在籍した医師のうち7名が退職届けを提出。このままでは2014年4月には医師が3名しか残らない事態となった。

町中が大騒ぎとなり、町長が謝罪。
町議会議員は木村院長のところを訪問し、頭を下げたという。

12月17日の議会で町長は独立行政法人化について調査費を予算化することを表明。

12月19日に道庁と前田一男代議士(前松前町長)、町長及び町長部局、松前病院を守る会、マスメディアが同席した席で、町長は病院事業に全面的に協力し、病院事業に関しては事業管理者に任せることを約束した。

木村院長は「事態を慎重に見ながら当面ここでの医療を続けて参りたい」として辞意を保留する意思を表明した。最終的に医師は6名が残留することとなった。

撤回の際、その時経営の自由度を高めるために、町長は地方独立行政法人化の方向性を示し、その旨新聞報道がなされた。

松前町議会は議会改革をすることを約束した。

しかし、実際は、地方独立行政法人化は先送りされた。
通常であれば1年半あれば地方独立行政法人化は可能だが2年半経っても地方独立行政法人化は行われていない。

町議会改革も、反問権の創設が見送られるなど、木村院長の期待に応える改革がなされなかった。

木村院長の辞任直前の2013年9月3日に、ある町民A(昔、病院の事務長だった)が松前病院の公金支出について木村院長を相手に職員措置要求の住民監査請求を行う(病院改築構想策定に関する・就学資金貸付に関する返還請求・診療報酬過剰請求の3つについて木村院長等に返還請求をすることを求める)。過剰請求については木村院長に対して8986万円の返還を求めている。

監査委員は請求を棄却。
その後2014年1月、町民Aが住民監査請求の結果を不服とし、木村院長を被告にして公金支出返還請求事件の住民訴訟を提起。
木村院長及び訴外前事務長に9613万8292円を松前町に支払うよう請求を行う。
2014年10月24日の判決で木村院長全面勝訴の判決が出るが、訴訟対応のための木村院長の心労は非常に大きかった。

院長辞職騒ぎの間、木村院長のところへ誹謗中傷に近い匿名文書が数多く送られた。

2015年11月第1回地域医療の今後のあり方に関する調査特別委員会が開催された。
特別委員会では、一部議員の嫌がらせに近い質問が続いた。
2016年2月23日の第4回委員会では、委員会の議論の理不尽さに木村院長が抗議の発言をする。

町長との2015年10月28日の話し合いで、3月または6月議会で地方独立行政法人の定款提案を目指す方向で進んでいた。
3月議会での提案は町長により「この4月町長選挙が予定されており町民の審判をいただいた後に、責任のある対応をするべきと判断しているところで、第1回定例会におきまして、定款の提案をできない」「町民の皆さんの審判を受けた後に、責任のある対応をするべきと判断した」

6月7日午後2時半からの木村院長と町長の意見交換で、町長は職員アンケートを行うことを求めた。条例提案は6月議会に追加議案として提出するか、それとも7月に臨時議会を開いて提案する方針を示す。
午後2時43分木村院長は松前町長に辞意を表明する。

なお、地方独立行政法人化とは別に松前病院の建て替えの話しが進んでおり、病院は独法化と改築を同時進行で行なうことを求めてきた。一方、松前町は地方独立行政法人化よりも病院の建て替えを先に進めることを示唆している。

木村院長は、地方独立行政法人化を図ることで、病院の建築費を安くすることもできると考えていた。

なお、総務省自治財政局準公営企業室「公立病院経営改革事例集(平成28年3月)」では、「地方独立行政法人堺市立病院機構」が新病院本体工事の契約にあたり、「従来の『価格による入札方式』ではなく『総合評価落札方式』を採用するほか、民間企業に準じた建築一括工事などの工事発注手法を採用し、工事費の縮減、工期短縮に努めた(事例集172頁)」と紹介されている。

公立病院経営改革事例集(平成28年3月)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000405335.pdf


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/15(水)16:54

鹿島労災・神栖済生会、2病院統合再編を検討委報告書公表

茨城県神栖市の鹿島労災・神栖済生会の2病院について統合再編を検討すべきという委員会報告書が公表された。

伊関も委員になって議論に参加した。

鹿島労災・神栖済生会、2病院統合再編を 検討委報告書、医師不足解消狙う
茨城新聞2016年6月15日(水)

医師不足で共に厳しい経営が続く神栖市の鹿島労災病院(土合本町)と神栖済生会病院(知手中央)の統合再編の必要性を指摘する報告書が14日、両病院の在り方を議論してきた検討委の委員長・小松満県医師会長から橋本昌知事に提出された。報告書は、2病院の統合再編によって経営基盤を強化し、医療設備の充実を図って大学から医師の派遣を受けやすい新病院を整備する必要があるとまとめている。2020年度ごろに新病院開院を目指す。(以下略)

http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14659133503113

議論に参加していて、実際の新病院建築は、その位置についてかなりもめるであろうと感じた。
果たしてどのような結果となるか。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/15(水)16:34

「月刊地域づくり(2016年4月号)」論文『適切な投資と良い人材の投入』

松前町議会の一部議員の「架空の黒字」論がなぜ問題か、地方の病院で地方交付税が入れられていることの意義を理解していただくために、伊関が地域活性化センターの「月刊地域づくり(2016年4月号)」に掲載した論文を紹介する(校正前原稿で修正されている箇所がある)。

編集部が『適切な投資と良い人材の投入』というタイトルをつけている。

松前町は良い医療人材を理不尽な方法で追い出すことになる。


地域の病院を存続させるために必要なこと

〇深刻な危機が続く地域医療
 マスコミの報道は減っているが、地域医療の危機は続いている。全国の自治体病院を訪問し、その経営状況を分析して感じるのが病院の二極化である。図1は経営主体別の医業収支比率(医療を行って得られる収入と収支の比率)の推移である。他の経営主体が改善傾向にあるのに対して、町村立病院が平成16年度の89.7%から平成25年度の82.5%に急激に収益状況を悪化させていることが分かる。

地域づくり1


さらに、図2は病床規模別の医業収支比率の推移である。300床以上の病床規模が大きい病院は改善の傾向にあるが、199床以下の中小病院の経営は悪化の傾向にある。特に50床未満の病院は平成16年度の81.2%から平成25年度の71.3%に大幅に悪化している。

 都市部にある300床以上の大病院の経営は改善傾向にある。しかし、町村を中心として地方にある中小病院は経営を悪化させているというのが現在の自治体病院の状況である。

地域づくり2


 地方の中小病院の経営悪化の最も大きな要因は医師・看護師などの医療人材の不足である。平成16年度から始まった新しい医師の臨床研修制度は、大学医局の医師派遣能力の低下を生み、派遣を行っていた病院から医師を引き揚げる動きが起きた。その後、交通の便の良い都市部の大病院は医師研修体制を充実させ、初期・後期研修医など若手医師が勤務することで医師数を増加させる病院が少なくない。しかし、地方の中小病院は医師研修体制を確立する余力がなく、大学医局からの医師派遣も細ったままで、なかなか医師数が増えない状況にある。もっとも医師に関しては、現在各都道府県で地域枠の医師養成が行われており、これらの医師の一定数が地方の中小病院に勤務することが期待できる。

 問題は看護師不足である。平成18年度の7対1看護単位の導入により、全国で看護師争奪戦が起きている。医師と同様に若い看護師も研修体制の充実した都市部の大病院に勤務する傾向が強く、地方の研修力のない中小病院には勤務しない。勤務する看護師の平均年齢が高くなり、これらの看護師が定年退職を迎えると病棟が維持できなくなることが確実という病院も多い。医師不足よりも看護師不足の方がより深刻であるとも言える。図3は、地方公営企業年鑑によるある町立病院(148床)の医師・看護師数の推移である。平成16年度以降医師が減少しはじめ、最近では看護師の減少が著しいことが分かる。現在、この病院は町本体の財政状況も悪いことから存続の危機に直面している。

地域づくり3


〇現在の病院経営に求められていること
 そもそも現在の病院経営にはどのようなことが求められているのか。図4はわが国の診療報酬がどの分野に配分されているかの推移を表したグラフである。昭和の時代は、「薬価差益」として薬や注射などに診療報酬が重点的に配分された(武見太郎日本医師会長の力が強く開業医に有利な報酬体系であった)。現在は、診療報酬は技術に対して適切に配分されることを目指している。病院は、職員を雇用して質の高い医療を提供して収益を上げる形になっている。

地域づくり4


 例えば、平成24年度の診療報酬改定で「感染症管理加算1・2」が創設された。病院内における感染防止対策の取り組みに診療報酬の加算を与えるものである(加算1は入院初日に400点(4000円)、加算2は入院初日に100点(1000円))。加算1を取得するためには①専任の院内感染管理者が配置されており、感染防止対策部門を設置していること。②感染防止対策チームを組織し、感染防止に係る日常業務を行うこと。特に看護師については5年以上感染管理に従事した経験を有し感染管理に係る適切な研修を修了した専任の看護師を配置することが必要となる(感染管理認定看護師の資格を取ることが多い)。職員が研修していないと加算が取れないのである。

 筆者は病院と名がつく以上、感染症の対策は当然行うべきであると考える。だが、残念ながら、加算2の感染防止対策チームを組織し、感染防止に係る日常業務を行うこともできていない病院もある。感染症管理加算に限らず、診療報酬加算の取得は、病院の医療提供の質を上げると共に収益向上を図る病院における最も重要な経営改善手法の一つである。加算を取得するための人材投資が必要な時代となっている。条件の悪い地方の病院こそ、研修の充実など若い医師・看護師が勤務したくなるような魅力ある職場づくりを行う必要がある。

〇一般会計繰入金は果たして「悪」なのか
 自治体病院に対する一般会計繰入金について、一部から他の病院には税金が投入されていないことから「イコールフィッテング」の考えから不公平であるとの指摘がある。少なくとも高齢化と人口減少に苦しむ地方の自治体病院にはあてはまらないと考える。ある地方の医療関係者が「過疎地は競争では問題が解決しない」と発言されたが、筆者も同じ考えを持つ。

 そもそも、医療提供に関しての都市と地方の格差は広がる一方である。開業医も引退して、自治体病院が地域で唯一の外来機能を有する場合も多い。外来機能を守るためにも病院を維持する必要がある。医療機関がなくなれば、その地域の住民は生活できなくなる。病院は地域の生命線である。知恵とお金を使って存続させていくことが重要である。当然、地方にある病院は自治体病院だけでない、日赤や済生会、厚生連、民間病院を含めて地域の医療を支える病院には財政的支援が必要と考える。実際、地域にとって唯一の公的・民間病院を自治体病院化し、指定管理による医療継続をしようという例が出てきている。その点で「官から民」ではなく「民から公」という流れが起きている。

 「産業としての病院」という考え方もある。地方の自治体病院の支出の約6〜7割は人件費である。地域における重要な雇用先という面がある。食材や物品の購入などで地域に落ちるお金を相当額に及ぶ。
 さらに言えば、地方の自治体病院は、都市と地方の税の格差を埋める再分配機能を有している。税の再分配なく、条件の悪い地方で医療を提供することは難しい。税の再配分の方法として、地方に住民の命を守る病院を設置し、医療者を雇用して医療を提供することは意義がある。自治体病院に対する地方交付税+自治体の一定の持ち出しで病院を運営できるなら問題ないと考える。

 当然、自治体の操出金が巨額となり自治体財政が破たんするのは問題である。また、医療機関の持続可能な運営を考えれば必要であれば、距離の近い複数の病院の再編統廃合を行うことを検討しなければならない場合もある。地域の医療を継続させるためには、病院の置かれた経営環境に関する情報の収集(勉強)とリアルな判断が必要となる。

 総務省も、平成27年3月に新しい「公立病院改革ガイドライン」を明らかにしたが一般会計繰入金を入れた後の「経常収支の黒字」を重視している。必要なら一般会計の繰入金を入れることは必要という立場に立つ。「税金投入ゼロ」を奨めているわけではない。

 気になるのが、新しいガイドラインで普通地方交付税の算定基礎が「許可病床数」から「稼働病床数」になることである。医師・看護師不足などにより大幅に病床利用率を減らしている地方の中小病院の交付税が大幅に減額にならないように、へき地の中小病院の特別地方交付税の増額などの財政措置が必要と考える。

〇地方の自治体病院の再生事例−公立邑智病院
 地方の条件の悪い中山間地の病院の医療再生のモデル事例として、島根県邑南町・川本町・美郷町が組合を設置して運営する公立邑智病院(一般病床98床)がある。平成16年度の新医師研修制度を契機に常勤医師が7名まで減少。経営不安から看護師も相次いで退職するという悪循環を生み、平成13年度に87.2%あった病床利用率が、平成18年度には48.4%に低下する。病院建て直しのため邑南町出身の石原晋医師が新院長として病院に赴任する(現在、石原医師は院長を退き参与として病院に勤務している)。

 石原医師が院長に就任して最初に行ったことは、約3千万円の費用をかけて「3K(暗い、汚い、臭い)撲滅キャンペーン」に取り組み、省エネ型照明への変更、壁紙・床の張り替え、備品の更新、トイレの改修などを行った。
 「職員満足を至上の価値とする」「病院職員全員のやりがい、生きがい、専門性をお互いに尊重する」ことを病院の最も重要な基本方針とし、専門分野にこだわらず各部門の垣根をなくし、相互に助け合う「教えやいこ、助けやいこ」を病院の合言葉とした。

 医師不足に関しては「萎縮医療」と「背伸び医療」のはざまを認識して、無理はせず、必要であれば紹介も行う、地域ニーズの8割に対応できる医療を目指した。地域の唯一の救急告示病院・自治体病院として、救急車を断らず全員で何でも診る総合医による総合診療を目指した。医療クラークの導入による医師の負担軽減も進めた。経営安定後は電子カルテ・マンモグラフィーの導入、CTの更新など、積極的な投資を行った。「日本一の子育て村」を目指す地元邑南町の政策実現のため、平成20年度には新たに島根大産婦人科医局より産婦人科の派遣を受けた。山間地の医療再生に取り組む石原医師の取り組みに共感する医師が病院で勤務するという流れが起き、平成26年度には医師10名体制(産婦人科医、小児科医、外科医、麻酔科医、内科医、総合診療医)を回復する。

 看護師不足については、負担を軽減するため臨床検査技師、診療放射線技師、臨床工学技士など雇える職種を何でも雇った。看護師の負担を軽減することを心がけた。採血やエコー検査は臨床検査技師が行った。入院患者のCT、MRIは放射線技師が病棟に迎えにいくことにした。余力がある部署がしんどい部署を助けるようにした。看護師の労働環境を改善すると共に看護学生の受け入れを積極的に行うこと、さらには邑南町の子育て政策も後押しとなり、看護師数は平成18年度の51名から平成27年度の58名まで次第に増加した。平成28年度は新たに8名の看護師(新卒4名、既卒4名)を採用し、66名体制となる予定である。

 平成24年度には事務部長が中心となり繰出基準を作成、構成町と必要なコストを積み上げて算定した繰出をすることについて合意がなされた。そもそも地方の自治体病院が救急体制を維持するにはお金がかかる。救急をやらなければ雇用しなくてすむ薬剤師や臨床検査技師、放射線技師で当直体制を組むために増員して雇用しなければならない。交付税相当部分では不採算の小児科や産婦人科を維持できない。そもそも地方の病院の医師や看護師などの医療スタッフの年齢は高めで給与水準を高くせざるを得ない。

 表1は公立邑智病院の繰出基準の一部である。これらの経費の積み上げ合計額1億1,026万円から地方交付税措置される4,987万円の差額の6,039万円が構成自治体の負担分となる。構成自治体は、救急・小児科・産婦人科の3つの分野は、まちづくりの基本(安心な暮らし)に欠かすことができない診療分野であるため、過疎地域においては不採算医療であっても、診療科が存在する事の安心感に価値があるとして、必要な経費を算定している。平成27年度の構成自治体の繰出金は4億3,628万円で、地方交付税分を除いた構成町の上乗せ負担分は約8600万円程度である。

地域づくり5

 当然、繰入金があるからといって放漫な病院経営のままであってはいけない。平成23年度には医薬品卸業者に対して総価方式による値引率の提示を求め、約2億円の医薬品費の1割近くの削減を実現した。平成24年度からは京セラ式病院原価管理手法を導入し、部門ごとの経営改善に取り組み、収益改善など顕著な効果が見られた。

 繰出金の増加による手持ち資金の安定は、医師・看護師の雇用のための投資を可能とした。1.5テスラのMRIなど医療機器更新、ドクターカーの導入に加え、医師住宅の改修、職員住宅(8戸)の新築、研修棟(研修室・事務室)の増築、シミュレーター購入などの投資が積極的になされた。特に研修室は、毎月のように地元医師会の研修会に使われ、地域の医療水準の向上に資している。

 住民が病院を支える動きも起き、2013年1月には邑智郡内在住の住民有志が「公立邑智病院を支援する会」が結成された。2015年8月現在の会員数は240名に及び病院清掃ボランティアなどの活動を行っている。

 小児・産婦人科・救急医療の充実は、子育ての親を始めとする地域の住民の安心を生み、邑南町の他の政策と相まって、平成17年にマイナス85人の社会減が平成25年には20人の社会増に、平成24年の合計特殊出生率が2.65となるなどの成果を生んでいる。さらに言えば、病院の職員数150名は、地域でも有数の大きな事業所である。病院が廃止されたり、診療所化すればこれらの雇用は一気に失われることになる。それは地域の衰退につながる。約8,600万円の構成町の持ち出しで地方の山間地の地域の安心を確保できるのであれば決して高くはないと考える。

 公立邑智病院の病院再建は地方の中小病院の医療再生のモデルと呼ぶべきものである。地理的条件の悪い地方の病院ほど、適切な投資と良い人材が投入されなければ存続できない。公立邑智病院の医療再生はそのことを教えてくれる。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/12(日)17:24

松前病院の経営状況

松前病院の経営状況はどのような状況にあったか。
経常収支比率は2009年度以降急激に改善している。
これは伊関も参加した総務省の「公立病院に関する財政措置のあり方等検討会」で、へき地にある自治体病院の地方交付税措置が大幅に充実したことに基づくもの。
町の一般会計からの持ち出しが増えているのではない。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/hospital/

松前1


純粋な医療による収益である修正医業収支比率は83〜87%で推移している。
地方の小規模病院としては大健闘しているといえる。

松前2


一般会計繰入金と手持ち現金、一時借入金の推移を比較すると、2009年以降繰入金が約1.5億円増えた。
これは先に述べたように、へき地病院に対する地方交付税の増加分で、町の持ち出しはない。
手持ち現金は、ほとんどない状況から2013年度は3.5億円まで増えた。

松前3


企業債・一時借入金については、一時借入金が一時期8億円近くあったが財政再建債に切り替え、現在は財政再建債も返済されている。

松前4



松前病院の経営状況は良好であり、これを「架空」の黒字と呼ぶ地方議会議員の見識を疑う。
発言に責任を取るべきである。


ちなみに自治体経営主体別の医業収支比率の推移。
町村立病院の経営が急激に悪化している。
このような中で松前病院の経営が安定していることは評価に値する。
松前町は本当に貴重な人材を失った。

経営形態別





地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/10(金)21:24

9年前に「まちの病院がなくなる!?」に書いたこと。

2007年に「まちの病院がなくなる!?」を書いた。

まちの病院がなくなる

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%BE%E3%81%A1%E3%81%AE%E7%97%85%E9%99%A2%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B-%E2%80%95%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%81%AE%E5%B4%A9%E5%A3%8A%E3%81%A8%E5%86%8D%E7%94%9F-%E4%BC%8A%E9%96%A2-%E5%8F%8B%E4%BC%B8/dp/4788707691?ie=UTF8&ref_=pd_cp_b_0

地方議会について次のようなことを書いている(校正前原稿、本編では一部変更がある)。
松前町にも当てはまる部分が多いと考える。


 筆者は、「医師不足」の問題は、地域社会における病理を浮かび上がらせるリトマス試験紙であると考えている。第2章でも述べてきたように、医師不足問題は新しい臨床研修制度の導入だけが原因ではない。医師の過酷な勤務の状況に対して、待遇や社会的な尊敬など、認められることが非常に少なく、疲れ果てて退職することも大きな要因となっている。医療現場で働く医師たちに対して、行政、議会、住民の理解はあまりに少ない。24時間365日、医療を提供する「機械」でもあるかのように、仕事をすることを要求する。

 これまでの地方行政は、道路や港湾、工業団地などの不足する社会資本の整備が中心であった。この時は、地域における自分たちの責任を考えず、公共事業の実施を大きな声で要求をするだけでよかった。国や都道府県に「おねだり」をすることが行政や議会の仕事であった。「おねだり」をした成果である公共事業が地域の産業を支えてきた。「おねだり」をするには、相手のことを考えないでよい。自分のこと、自分の権利だけを考えればよかった。

 医師不足の問題も、これまでは、大学医局に医師派遣の「おねだり」をすれば、医師は派遣されてきた。自分たちが医師を酷使していることに気付かずに、疲れ果てた医師を使い捨てにしてきた。しかし、今は、大学医局に「おねだり」しても、医師が派遣される時代ではない。医師は、議員や市民の暴言や理解のない行動に対して、嫌であれば自治体病院院を辞めることができる。行政、議会、住民が知恵をしぼって医師が働きたくなるような職場環境をつくらなければ、医師は地域で勤務しない。

 地域住民は、医師不足に対して被害者の立場だけではない。自分たちの都合でコンビニのように医療を使えば、医師は疲弊する。残念ながら、「自分だけよければ」と考える人たちが、地域医療を荒らすのである。地域に住む人たちは、自分たちが、医師不足問題について加害者という側面があるということを意識することが必要である。

 筆者は、医師や看護師などの医療専門職は、国民全体が共有する人的な財産であると考える。水量に限界のある泉のようなものとも言える。泉は、自分のことしか考えず、くみ上げれば枯れてしまう。泉にかかわるすべての人が皆、泉のことを大切にする必要がある。医療現場で働く医師や看護師などの医療スタッフの仕事のつらさを自分のことと考え、敬意を示すという当たり前のことができないのが、今の日本の社会なのである。


(2)地方議会ができること、すべきこと 
 地方議会の現状は、地域住民の意識を映し出した鏡である。これまで述べてきたように、相当数の議員が地域医療や病院経営に対して不勉強であり、思いつきで発言したり、理不尽な要求をする議員も多い。自治体病院を利権の道具と考えている議員も存在する。地域医療や自治体病院の経営の破壊者となる地方議会議員も少なくない。地域医療の継続のために必要な改革に対して、抵抗を示す地方議会議員も多い。
 地域医療を守っていくためには、地方議会議員の質を上げることが必要である。とにかく、地方議会議員は医療や病院経営について勉強をすべきである。さらに、自治体病院を自らの利権の道具と考えず、余計な干渉をしないことが求められる。地方議会議員について言えることは、これ以外にない。

 地方議会議員の世界で「調査なくして質問なし」という有名な言葉がある。しかし、地域医療や自治体病院の経営に関して「調査なくして質問なし」の言葉に見合う発言をしている地方議会議員がどれだけいるのであろうか。確かに一部の地方議会議員は、地域医療の現状についてよく勉強をし、的確な質問を行っている。しかし、残念ながら、そのような議員は少数であると言わざるを得ない。

 北海道栗山町議会は、2001年からさまざまな議会改革の試みを行ってきた。2006年5月に制定された「議会基本条例」はそれらの試みを明文化し、さらに新しい試みを盛り込んだ条例である。条例は「住民との対話」「透明性の確保」「議員同士の議論による正しい判断」の観点を中心に、「議員相互間の自由討議の推進」「議員の質問に対する町長や町職員の反問権の付与」「請願、陳情を町民からの政策提案として位置づけ」「町民や団体との意見交換のための議会主催による一般会議の設置」「年1回の議会報告会の開催を義務化」「重要な議案に対する議員の態度(賛否)を公表」「議員の政治倫理を明記」「政務調査費に関する透明性の確保」などの項目が盛り込まれている。

 筆者が注目しているのが「議員相互間の自由討議の推進」と「議員の質問に対する町長や町職員の反問権の付与」である。「議員相互間の自由討議の推進」は、これまでの栗山町議会における改革の試みを明文化したものである。栗山町議会基本条例第9条は「議会は、議員による討論の広場であることを十分に認識し、議長は、町長等に対する本会議等への出席要請を必要最小限にとどめ、議員相互間の討議を中心に運営しなければならない。」と議会においては議員間の討議が中心であることを定める。一般の人は、議会において議員同士で議論をするということは、当たり前のことと考えられている。しかし、多くの地方議会において、議員同士の自由な討議は当たり前のことになっていない。市民グループや学者などによって結成された「自治体議会改革フォーラム」では、2007年1月末に全国の1890自治体議会すべてに郵送アンケート調査を行った(1468議会が回答)が、首長提出議案をめぐって議員同士が「自由な討議」を行っているかどうかを尋ねた設問に関して、議会事務局から「設問の意味が分からない」との問い合わせを数多く受けた(自治体議会改革フォーラム大森彌氏と佐藤竺氏の緊急座談会における進行役廣瀬克哉氏の報告http://gikai-kaikaku.net/zadankai070315.html)。議員同士の議論がそもそも存在していない地方議会が多数存在することの表れであるといえる。

 さらに、「議員の質問に対する町長や町職員の反問権の付与」は、議員の質問に対して町長や町職員の見解が相違した場合、反問する権利を認めたものである。このような権利を認めている地方議会はほとんどない。実際2006年6月に開かれた定例会議で、椿原紀昭町長が町議の質問に対して反問権を行使すると議場は緊張感に包まれたという(産経新聞2007年4月3日統一地方選ズームアップ)。十分勉強をしない、レベルの低い議員の質問は、反論されるという当たり前のことが、当たり前でなかったことが日本の地方自治の不幸であった。それは自治体病院、地域医療にとっての不幸でもある。理不尽な議員の議会での発言に対して、医療現場が、医療の視点からきちんと反論できなければ、地域医療は守れない。

 最近、地方議会議員においても、単なるスローガンではなく、具体的な議員としての目標や行動を具体的な「言葉」であるマニフェスト(公約)にして提示する動きや、市民グループや青年会議所が主催者となって公開討論会を開催する動きが出ている。地域医療の危機に際して、地方議会議員になろうとする候補者は、地域医療に対してどのような考えを持ち、どのように維持していくべきかの考えを有権者に対して明らかにすべきである。地域医療の視点から議員の発言を格付けすることも必要かもしれない。見識がなく、自らの欲で地域医療を破壊させるような地方議会議員候補者は落選をさせるべきである。地域医療の再生のためには、地方議会の再生が必要である。



地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/09(木)19:12

松前病院ドクターブログ「ERから地域医療へ」新エントリー

松前病院のドクターブログ「ERから地域医療へ」で新エントリーが掲載された。

現場のドクターの皆さんがどのような気持ちでおられるかが良く分かる。

https://from-er-to-local.blogspot.jp/2016/06/blog-post_9.html


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/09(木)18:06

フェイスブックでの丹波新聞足立智和記者との意見交換

フェイスブックでの丹波新聞足立智和記者との意見交換

足立記者は兵庫県立柏原病院の小児科を守る会の立ち上げでおおきな貢献をした記者さん。

私と同じ地域医療(崩壊)マニア。

全国の地域医療崩壊の事例を見ている。

足立 智和 町長選の前にここまで発言されていたのですね。現職が再選された時点で退職を決意されたのでは。しかし、この文書、不勉強な議員が言いたい放題、反問権を認めていない、地方議会のダメさが顕著ですね。これは、全国の執行者側が議員に対して思っていることですよ。
いいね!を取り消す · 返信 · 3 · 22分前

伊関 友伸 地方議会で反問権を認めないと地域医療は崩壊します。
ダメな議員の発言を野放図にしてはいけません。
いいね! · 返信 · 3 · 1分前 · 編集済み

足立 智和 医療に限らず、反問権がないことが低湿な議員がのさばる原因のひとつだと思います。不勉強な議員が、気分で賛否を決めてるようなもので、そんな所で自治体病院の運営ができるはずありません。
いいね! · 返信 · 1 · 10分前


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/08(水)23:01

松前病院で勤務されている医師のブログ

松前病院で勤務されている医師のブログです。
現場の先生達の気持ちが良く分かります。

https://from-er-to-local.blogspot.jp/


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/08(水)22:26

松前町議会地域医療の今後のあり方に関する調査特別委員会(第4回)

松前町立松前病院の木村院長先生が辞任する大きな原因となった{地域医療の今後のあり方に関する調査特別委員会(第4回)」の議事録。

詳しくは議事録本文をお読みいただきたい。

前議長の斉藤という議員と近江という議員が延々質問をしている。

http://www.e-matsumae.com/gikai/kaigiroku/28/toku_iryo-04.pdf

木村院長の発言部分を紹介します。

近江という議員は、今までの松前病院の黒字を「架空」と発言したという。
自治体病院の研究者として非常に不勉強で不適切な発言であると考える。

○木村管理者 斉藤委員のご質問、技術職員の確保は大変なのではないかということでございましたが、お答え致します。松前町議会が、今後このような対応を続けるのであれば、技術職員の確保は難しいと思います。
委員長、今まで質疑を聞いていて、大切なことがありますんで、しばらく時間をください。
今まで、調査特別委員会で多くの資料を請求され、事務方が夜を徹して準備をし、丁寧に答弁をさせていただきました。地域医療の今後を守るための調査特別委員会だというふうに承知しています。地方独立行政法人化、それから改築について話すということになってます。スケジュールは見えていません。いつまでやるのかもはっきりしない。何でもかんでも資料要求が来る。病院の無料送迎バスのバス停の各停留所での乗降、昇降の人数まで要求される。それが、いったい今後の地域医療と何が関係あるんでしょうか。職員の給与規程などについても、じっくりと、大切なことですからじっくりと示していかなければいけない。じっくりと職員と、組合と相談していかなければない。なのに、定款を通すためには全部先に出せと、全部完成させろと言う。全国で給与規程をちゃんと詰めるのは、独立行政法人化の定款を出して、その後からです。松前だけがどうして日本で、松前だけがどうして日本で給与規程を先に完成させなければいけないのか。
発言を聞いてると、斉藤委員と近江議員の後ろ向きの質問が非常に目立ちます。大所高所からの議論がなされていません。委員長、大切なことですから。委員長、答弁はしました。今のような議会であれば確保はできないと申し上げましたよ。委員長、大切なことですから、時間をください。
○西村委員長 発言を認めます。
○木村管理者 はい、ありがとうございます。
大所高所からの議論はほとんどなされていない、私は、こう申し上げます。今後のあり方に関しての大切な質問がほとんどない、一部ありました、各論だけやってる、いたずらに時間を費やしている。町民の医療について、今後の地域医療のあり方について、病院の形態について、質疑が深まることが求められているんじゃないでしょうか、具体的に進んでいかなければいけないんじゃないでしょうか。現状維持ではならないんです。変わらなければいけない、松前町は変わらなければいけない、病院も変わらなければいけない。今がいいばいい、今が良ければいいと、そういう理屈は成り立ちません。今までどうやって病院が黒字になりましたか。近江議員、どうやって病院黒字になりました。だけどね、傍聴の皆さん、我々は議員達に質問することは許されてないんですよ。近江議員は、去年の9月の決算審査特別委員会で、病院は黒字になったけれども架空に見えてならないと、架空に聞こえてならないと言いましたね。後から病院に現れ、病院に謝りに来ましたね。だけど議会の場では謝ってませんね。
○西村委員長 傍聴席、再三申し上げますが、発言は許されておりませんので、静粛に願います。
○木村管理者 町長は、独法化について、検討する、検討するとおっしゃってますが、今日も来てません。多くの委員会に欠席してます。前向きな発言もしていません。病院が大切であるという態度が見られない。私が町長と会ってじっくり独法化について、病院の運営について話すことができたのはいつでしょうか。一昨年の12月9日と、去年の10月28日だけです。これでどうして病院と緊密な連携を取りと言えるんでしょうか。支えていただいていません、支えていただいてない。
○西村委員長 病院管理者に、
○木村管理者 委員長、大切なことですから、もうしばらく時間をください。
○西村委員長 簡略に、簡略にお願いします。
傍聴席、これ以上やりますと退場を命ぜられることになりますので、静粛に願います。
傍聴席、傍聴席、退場を命じます。あなた、退場命じます。退場を命じます、速やかに出てください。会議ルールに沿って、特別委員会やっておりますので、ご理解ください。
院長。
○木村管理者 非常に残念です。10年間を振り返って、様々なことがありました、様々にやって来ました、様々な苦労がありました。それが、皆さんには全部は見えてないかもしれない。血液透析も導入した、病院の無料送迎バスも福島まで延ばした、1台から2台にした、安い薬を活用するようにしている、看護師の修学資金も創設して看護師がやっと来るようになった。学生や研修医をたくさん受け入れて、それが医師確保にも繋がっている。医師確保がどれだけ大切なことかお分かりですか。議会でこうやって無益な質疑を繰り返してる、そういうところに医師が来ると思いますか。7年連続黒字です。架空ですか、近江議員、これはつぶやきです、質問じゃありません、
質問できませんから。2年10ヶ月前から、2年3ヶ月前までの病院のトラブルを思い出してください。監査委員室が病院の資料を、病院の伝票を丸ごと持ってきて粗探ししました。元事務局長が情報開示請求をして、その後、住民監査請求をしました。この議場にも来ています。監査委員室が粗探しをした結果、決算は不認定になりました。黒字決算を不認定にしたんです。
そして、25年の4月に交わした覚書を町長は反故にしました。私は、退職願いを出しました。そしたら、どうなりました。町長謝りました、その当時の議会も謝りました。斉藤委員、何て言いましたかね、院長を全力で守ります。何が申し訳なくて謝ったんですか、当時の議員達は。
○西村委員長 院長、もういいんじゃないんですかね。
○木村管理者 二度とあの繰り返しをしたくないと思ってやってきました。また同じことを繰り返すのは非常に残念です。前向きな議論をしていただきたい。いったい、いつまでこれをやるんです、高い次元のことをやってください。私はもう耐えられません、疲れました。このままの議会、このままの町ではやっていられないというふうに考えています。考えさせていただきます。
○西村委員長 他に質疑ありませんか。
近江委員。この説明資料に基づいた質疑でお願いします。
○近江委員 資料4ページと、6ページと7ページですね。これを見ますとですね、累積欠損金の問題なんですね。43年度には、現行のままいくと6億9千、8千万ですか、なるんですね。独法化した場合の、場合はね、11億4千400万になるんですね。これを見た場合ね、独法化にする必要があるのかなっていう素朴な疑問です。答えてください。
○西村委員長 佐々木主査。
○佐々木主査 すいません、資料の作り方がですね、説明が不十分で申し訳なかったんですけれども、累積欠損金という表示をしておりますので、平成、今、6ページですね、まず6ページを見ていただきたいんですけれども、累積欠損金という表示をしておりますので、平成28年度までは累積欠損金が正数であるという内容となっております。平成29年度からは純利益の増により、マイナス表記となっておりますが、これは剰余金が増えるという内容となっております。説明が不十分だったところ、申し訳なく思っております。よろしくお願いします。
○西村委員長 近江委員。
○近江委員 そうですね、わかりにくい三角書いてますからね、ちょっと勘違いしました。それと、疑問に思うのはですね、人口が1万人台でもね、12億ぐらいの収入があるんですよね。それが、これから松前町は3千人、或いは4千人という人口減少が、その到来が来るんですね。その中で今の12億っていう根拠ね、どのように計算したのか伺います。
○西村委員長 佐々木主査。
○佐々木主査 また、資料が前後して申し訳ないんですけれども、今後ですね、説明される資料5の2、(2)の中でですね、人口が減少が想定される中、100床の根拠と今後の入院患者数の推計という資料がございます。その中での説明の中でですね、松前病院にかかる受療人口ですね、受療人口というのは医療を要する人の人口というのが、今後の推計で見てもですね、それ程医療の収入の方には影響しないというような説明がこれからなされる形となりますので、そのことを根拠と致しまして推計をしております。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/08(水)21:49

北海道松前町立松前病院の木村眞司先生の退職について

2016年6月7日午後2時43分、病院訪問をしていた松前町立松前病院の木村眞司先生が松前町長に辞意を表明された。
理由は町に議案の提出を求めていた病院の地方独立法人化について誠意ある回答が得られなかったためです。

伊関は医学書院「病院」で「事例から探る地域医療再生のカギ」というテーマで隔月連載をしている。

たまたま論文の執筆の取材で病院を訪問したところ、木村眞司先生が退職されるという事態に関わることととなった(伊関は木村先生が辞表を提出する原因となった木村先生と松前町長との面談には同席していない)。

最近の伊関友伸のブログは、伊関の研究活動報告が中心であったが、松前病院については関わった経緯から、研究者としてきちんとした情報を提供することとしたい。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/06/08(水)21:29

医学書院「病院」2016年6月号にCurrent Issueとして「総務省『公立病院経営改革事例集』から学べること」というコラムを書いています

医学書院「病院」2016年6月号に、Current Issueとして「総務省『公立病院経営改革事例集』から学べること」というコラムを書いています。

http://www.igaku-shoin.co.jp/journalDetail.do?journal=36911


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/05/30(月)14:26

セミナー「ローコスト・高品質の自治体病院建築を実現する方法 ~建て替えを病院経営の危機としないために」

図書館総合研究所の「地域医療再生研究会」で「ローコスト・高品質の自治体病院建築を実現する方法~建て替えを病院経営の危機としないために」という話しをする。

現在、スライドを作っているが、過去に関わった下呂市立金山病院の事例や今回の筑西市・桜川市の統合新病院の事例を紹介する予定。
病院新築を検討されている自治体病院には参考になると思う。

http://www.trc.co.jp/soken/seminar/2016_0628.html

****************************

TRCセミナー「まちの課題を解決する図書館」<地域医療再生研究会>
ローコスト・高品質の自治体病院建築を実現する方法
~建て替えを病院経営の危機としないために~

拝啓 時下ますますご清祥の御事とお喜び申し上げます。
さて、‘知のインフラ’図書館と図書館を通したまちづくりに貢献する図書館流通センター(TRC)グループでは、地域社会が抱える課題とその解決に向けた経験知やアイデア等を繋ぐ共同研究の場「まちの課題を解決する図書館」を各種テーマ設定の下に開催しております。
今回の「地域医療再生研究会」では、自治体病院の老朽化・更新に向けた動きが相次ぐ中、ローコスト・高品質の建築を実現するための手法を、具体例を交えながら解説します。
つきましては、ご多用の折とは存じますが、是非ともご参加くださいますようご案内申し上げます。  敬具


日時 6月28日(火)14:30~16:45  *終了後、講師を囲んでの懇親会を予定(会費別途)
会場 図書館流通センター本社 ホール(東京都文京区大塚3-1-1)
*東京メトロ丸の内線「茗荷谷」駅より徒歩1分、春日通りに向かって左手、茶色のビル
参加費 自治体及び自治体病院ご担当者・自治体議会議員…お一人様5,000円(税込)
上記以外の方…お一人様35,000円(税込) 当日、会場受付で承ります。
ご請求書の発行、その他につきましては、下記「お問合せ先」までご相談ください。
申込み 申込書(230KB)にご記入の上、Faxでお申込ください。
*お申込受付後、順次、メールにて「出席票」をお届け致します。
*お申込後、ご欠席となる場合には、事前に、下記「お問合せ先」まで、必ずご連絡ください。

今日、自治体病院は生き残りをかけた競争の中にあります。その際、病院の建て替えは、質の高い医療の提供、医師・看護師など医療者の雇用、入院・外来患者の拡大等に向けた重要な契機となります。しかし、経営面での配慮を欠いた過大な設計・建築等によって多額の借金を抱え、医療崩壊を招いてしまう例があることも否定できません。自治体及び自治体病院関係者は、「建て替えは病院経営の最大の危機」ともなり得ることを認識する必要があります。
そこで、今回の研究会では、限られた予算でローコスト・高品質の自治体病院建築をいかにして実現するか、起債など借金に頼らずに病院をどのようにして建設するか等のノウハウを、下呂市立金山病院、とちぎメディカルセンターをはじめ、ローコスト病院建築への支援実績を有する講師が解説します。

講師
伊関友伸(いせき・ともとし) 城西大学経営学部マネジメント総合学科教授
埼玉県庁を経て2004年より現職。総務省公立病院に関する財政措置のあり方等検討会委員、夕張市病院経営アドバイザー等を歴任。著書に『自治体病院の歴史―住民医療の歩みとこれから』(三輪書店)、『まちの病院がなくなる!? 地域医療の崩壊と再生』(時事通信社)など。

お問合せ先
TRCセミナー「まちの課題を解決する図書館」 (担当:島・ 加藤)
〒112-8632 東京都文京区大塚3-1-1  株式会社図書館総合研究所
Tel:03-3943-2221  Fax:03-3943-7058  E-mail: shima.yasuyuki@mxh.trc.co.jp




地域医療・自治体病院のマネジメント2016/05/30(月)09:38

筑西市・桜川市の統合新病院の建設工事の事業者のプロポーザル委員会

昨日は筑西市・桜川市の統合新病院の建設工事の事業者のプロポーザル委員会。
売り手市場で建築費が高騰している現在、建設会社が手を上げるか心配であったが、手を上げていただいた会社があった。
二段階発注方式(ECI方式)という方法で発注をするのであるが、250床で70.6億円(1床約2800万円)の建築がなんとか実現できるかというところまできた。

http://www.city.chikusei.lg.jp/news.php?code=3446

****************************
「(仮称)新中核病院建設工事実施設計協力事業者(施工予定者)」の優先交渉権者が決まりました (2016年5月29日掲載) NEW
事業者が持つ豊富な経験と高い専門知識を活用し、地域医療を担う高品質の機能を有した病院を建設するため、公募型プロポーザルでECI方式による協力事業者(施工予定者)を募集し、技術提案書の審査及びヒアリングを行ない、優先交渉権者を決定いたしました。
■優先交渉権者の名称及び所在地
前田建設工業株式会社茨城営業所
茨城県水戸市南町2丁目6番13号


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/05/30(月)09:31

筑西市・桜川市の新中核病院建設工事実施設計協力事業者(施工予定者)選考公募型プロポーザル

平成28年5月29日(日)13時00分より、筑西市・桜川市の新中核病院建設工事実施設計協力事業者(施工予定者)選考公募型プロポーザルが開催される。

http://www.city.chikusei.lg.jp/news.php?code=3442

伊関がローコスト病院建築で協力をしている自治体病院である。
今回は、基本設計完了後の時点で建設工事実施設計協力事業者である建設会社を選定するプロポーザルである。

250床で70.6億円(税引き前)の病院建築を目指している。
建設費高騰の現在ではかなり挑戦的な金額になっている。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/05/26(木)14:55

GW

GWの間、本の執筆をしていたが、正直進まなかった。
文章を書けない自分を再認識。
もっと頑張らないといけない。


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/05/05(木)21:57

地域活性化センターの情報誌「地域づくり」4月号の基調論文に寄稿

地域活性化センターの情報誌「地域づくり」4月号の基調論文に寄稿しています。
https://www.jcrd.jp/images/chiiki_toc/322_mokuji.pdf


地域医療・自治体病院のマネジメント2016/04/04(月)16:06

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プロフィール

元埼玉県庁の職員。 現在は埼玉県の坂戸市にある城西大学の経営学部の教授で行政マネジメントを教えています。

伊関友伸

Author:伊関友伸

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