ETV特集をご覧になった方から、村上医師は診療所の経営を考えず、勝手なことばかり行っていて町の財政を圧迫しており、財政破綻を心配した町当局と対立したようにも見えるという意見をいただいた。
しかし、後で述べるように、瀬棚診療所の財務データを分析すると、平成16年度で実質的な赤字補てんは720万円しか行われていない。
このことを見ても、村上医師が非常に優秀な経営者であることがよく分かる。
このような優秀な診療所の経営者を辞職させる行政は、やはり問題があると考えている。
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瀬棚診療所の財務分析
合併による退任問題が問題となる前の安定的に病院運営をしていた平成16年度の瀬棚診療所の財務分析は次のとおりである。
平成16年度瀬棚診療所の決算
歳入
診療収入 232,390千円
他会計繰入金 50,829千円
基金繰入金 10,500千円
繰越金 22,014千円
その他の収入 21,289千円
合計 337,022千円
歳出
総務費 221,158千円
医業費 63,001千円
基金積立金 5千円
公債費 33,857千円
合計 318,021千円
(瀬棚診療所の決算を元に作成)
診療所運営だけの収支を見る
診療上の経営状況を分析するにおいて、町からの繰入金や建物の元利償還金などを除いて、純粋な診療所の運営にかかる収支を見てみることにしたい。
診療所運営をチェックするために除く収支項目
歳入
他会計繰入金(町本体からのお金)
基金繰入金(診療所の安定経営のために使われるものであるが、他病院との比較のため除く)
繰越金(前年度からのお金)
歳出
基金積立金
公債費(診療所の借金の返済など)
を除いて収支を見る
診療所だけの運営費で見ると
歳入
診療収入 232,390千円
その他の収入 21,289千円
合計 253,679千円
歳出
総務費 221,158千円
医業費 63,001千円
合計 284,159千円
歳入−歳出 −30,480千円
歳入−歳出の不足額30,480千円
この不足額に対して、自治体立の診療所として、地方交付税で運営の支援がなされている。
診療所(医科+歯科)14,200千円、訪問看護ステーション5,000千円程度など。不足部分が、町からの赤字補てんとして繰り入れられることになる。
建物等の公債費
公債費33,857千円の約70%23,699千円は地方交付税として町に戻ってくる。
平成16年度の場合、残りの10,158千円は、基金繰入10,500千円により対応している。
他会計繰入金
他会計繰入金(町本体からのお金)である50,829千円の内訳はどのようになっているか。
その多くが地方交付税で、委員会資料では、平成16年度の計算で43,620千円が国から町本体に交付され、診療所の会計にやってきている。
差額の7,200千円程度が、実質の町の持ち出しと考えられる。
基金の考え方
瀬棚診療所の運営には、旧瀬棚町から引継いだ基金が存在した(現在は廃止)。
旧瀬棚町では、診療所整備の元利償還金の一般財源負担部分を補てんするための基金と考えられてきたようだ。
平成16年度に、建物等の整備の元利償還金の一般財源分として10,500千円が使われたことは、十分説明がつく。
平成16年度決算から分析した瀬棚診療所
基金繰入分を診療所整備のための起債償還の一般財源負担分と考えれば、平成16年度の瀬棚診療所への町の実質的な赤字補てんは7,200千円程度と考えられる。
優秀経営の診療所
見た目の瀬棚診療所の医業収支比率が低いのは、診療所整備の起債償還を診療所会計で負担することに基づくことによる。
起債の償還は地方交付税及び町基金で行っていたので、診療所の経営としては非常に優秀な経営であったと考える。