本日、7月6日付け日本経済新聞全国病院アンケートで次のようなコメントをしています。
調査結果の概要は、新聞をお読みください。
日経新聞2008年7月6日医療面
全国の病院を見る中で、特に地方の自治体病院(公立病院)で医師不足が深刻と感じていた。調査で自治体病院の七七・八%が診療体制の縮小があったと答え、数値で裏付けられた。自治体病院は地域医療を支える中核だが医師不足や赤字にあえいでいる。
救急体制を巡っても、調査からは「医師が確保できず、周囲の病院が救急を制限し、残る病院に軽症患者が集中。一方で救急でも高度な医療を求められ、医師の負担は増大し、疲弊した医師が病院を辞める」――という悪循環が読み取れる。患者による暴力や訴訟リスクも見逃せない。献身的な努力が報われない現実は医師のやる気をそぎ、病院から立ち去らせる。
この危機の裏側には「お役所体質」もある。例えば医師の過酷な勤務状況。多くの病院で昼間の診療の後、夜中は救急対応し、翌日も通常診療する連続勤務が常態化している。だが自治体は医師の待遇改善より現状維持を優先し、問題を先送りしがちだ。病院運営の権限の多くが現場ではなく自治体の人事・財政担当者にあり、病院の事務職員も数年で異動となるためだ。
医師不足を解決するには、現場の声を良く聴き、医師の待遇を改善し、働きやすい職場環境をつくることが重要だ。住民も自らの健康や病気について学び、医師に配慮した受診を行うなど、意識を変える必要がある。
医療事故対策も同様だ。安全管理組織を設置し、専任者を置く病院は増加したが、病院全体で当直医に翌日午後の診察をさせない病院は一一%だけ。事故の根本的な原因である激務を緩和する余裕はない。どの病院も安全や質の向上のための費用は持ち出しだ。スタッフの雇用を含め、必要なコストは診療報酬で手当てをすべきだろう。