参院選の争点を追う〈5〉〜医師不足〜
紀伊民報が、参議院選挙の争点として医師不足問題の現状についてレポートしている。
参院選の争点を追う〈5〉〜医師不足〜
紀伊民報 平成19年7月3日
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=127575
参院選の争点を追う〈5〉〜医師不足〜
紀伊民報 平成19年7月3日
「国は子どもを産め産めと言っているが、このまちでは産みたくても産めない」
新宮市出身で、大阪府高槻市に住む女性(21)は妊娠3カ月。里帰り出産をしたいが、あきらめるしかなかった。
同市蜂伏にある市立医療センターは、同市内だけでなく東牟婁郡内や三重県南部、奈良県十津川村などから患者が来る。出産だけで年間約400件を扱う紀伊半島南部の中核的な医療機関だ。しかし、産婦人科医2人のうち1人は、9月末までの期限付きで奈良県立医大から派遣されている。10月以降は1人になるため、出産の受け付けができないと発表していた。
この女性は高槻市に嫁いで間もない。夫が午後9時を過ぎて会社から帰ってくるまでは、平日は家で1人で過ごす。つわりがひどく、病院で点滴を受けることもしばしば。
精神的に不安定になり、最近よく、新宮市の実家に「帰りたい」と漏らす。「こちらで産ませてやりたいが、できない」と実家。出産予定日は1月初旬。女性は結局、高槻市内の病院で出産することを決めた。
新宮市内に住む別の女性(23)は5月、帝王切開で予定日より1カ月早く女児を産んだ。産んだ場所は、市内で唯一ある産婦人科医院。出産から数日後、女児の心音に異常が見られたため市立医療センターの小児科で診てもらおうとしたが、予約でいっぱいだったため市内の診療所を紹介された。
市立医療センターでは、産婦人科医だけでなく内科医なども不足している。医療センターの玄関には「内科の初診には医師からの紹介状の持参を」との案内板を掲げている。
医療センターの待合所で患者の世話などをする市内のボランティア女性(73)は「医師が食事する時間もなく、見ていて気の毒。医師の異動も早く、患者から残念がる声をよく聞く。常駐してくれる医師がほしい」と打ち明ける。
同センターには8月から6カ月間、産婦人科医1人が臨時派遣されることになった。これで出産の受け付けが継続される可能性が高くなったが、医師不足が根本的に解決したわけではない。
◇
県によると、和歌山市以外の県内の公的医療機関では内科、小児科、産婦人科などを中心に80人程度の医師が不足している。和歌山市にある県立医科大学は入学定員が60人。全国の県立医科大学の中で最も入学定員が少ない。=おわり=
(この連載は保富一成、牧康宏が担当しました)
政党アンケート
県内に組織を持つ主な政党にアンケートを行い「医師不足」についての対策を聞いた。
自民党
今後とも政府は医師の緊急派遣、あっせんなど地域の要請に応える。医学部の定員枠を増やすなど、地方勤務を前提条件とする医学生を増加させ、人員の確保を図る。
公明党
緊急的な医師派遣システムの構築、病院勤務医の過重労働を解消するための集約化や交代勤務を推進。和医大の学生定員の増員と自治医大からの研修医の派遣増を図る。
民主党
病院の定員を管理し、研修医の受け入れを可能にする。奨学金制度を創設し、医学生の返還義務免除と紀南での勤務を条件付ける。ヘリコプターのさらなる配備は急務。
共産党
医師数を抑制する政府の方針を転換し、抜本的に増員する。診療報酬は医療の質、地域医療支援など必要な分野を増額。公的病院を地域医療の拠点として予算を確保。
社民党
まず地域医療を守るため、医師の養成や医師確保が必要。和医大の推薦入学枠の拡大や修学資金制度の充実、機能分担を明確化した効果的な医師の配置などの改革。
【医師不足を訴える案内板を立てている新宮市立医療センター(新宮市蜂伏で)】
('07/07/03)
地域医療・自治体病院のマネジメント
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│2007/07/03(火)07:57
