青森県公立金木病院医師補充なく救急休止も

青森県五所川原市にある公立金木病院で、年内に内科医2人が退職し、内科医が1名となる可能性が高くなっている。

現状では、来年1月から救急体制を休止せざるを得ない状況となっている。

青森県内でも、公立金木病院のある西北五地区は、特に医師が足りない地区となっている。人口10万人当たりの医師数が98人で、全国平均の201人、青森県平均の164人を大幅に下回っている。

公立金木病院の医師不足の現状は、東奥日報の特集に詳しく書かれている。
http://www.toonippo.co.jp/l-rensai/kirinonaka/20060711.html


東奥日報 平成18年10月14日
金木病院医師補充なく救急休止も
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/20061014095509.asp



東奥日報 平成18年10月14日
金木病院医師補充なく救急休止も

 年内に内科医二人が退職する公立金木病院(五所川原市)に対して、弘前大学医学部が、医師を補充派遣しない方針を正式決定したことが十三日分かった。県も派遣の予定はなく、金木病院が独自に医師を確保しない限り、来年一月にも救急体制を休止せざるを得ない厳しい状況となった。

 金木病院の医師は、定員(八月現在)十三人に対して現在、嘱託医一人を含め六人。内科医三人のうち二人が年内に退職することが決まっているため、平山誠敏五所川原市長らが八月十八日、弘大と県へ内科医の補充派遣を要請していた。

 弘大医学部は地域医療対策委員会(委員長・佐藤敬医学部長)で対応を協議。学部内の関連講座や付属病院診療科に協力を求めたが、派遣に同意する医師がいなかった。

 県も「マンパワーに余力がなく、地域で医師を確保してほしい」と、既に医師派遣をしない方針を示している。

 この結果、金木病院は来年一月から内科医一人体制となり、外来、救急、入院のすべてに対応することは事実上不可能な状態。独自で医師を確保しない限り、救急指定を取り下げざるを得なくなる恐れが出てきた。

 金木病院は、年間約七百件以上の救急外来を引き受けており、救急を中止すれば、中泊町、旧市浦村地区の救急患者が西北中央病院(五所川原市)に集中。昨年度、約一万四千四百件の救急外来を受け付け、多忙を極めている西北中央病院の負担増大は避けられない。



東奥日報 平成18年7月11日
■霧の中の処方せん/医師不足にあえぐ県内
(1)“過疎”進む金木病院/常勤医2年で4人減

 夜の静寂をサイレンの音が破った。救急車が公立金木病院(五所川原市)へ向かってくる。病院隣の公舎に住む蝦名鉄徳医師は、寝床で考える。「重症だろうか。当直医一人で大丈夫だろうか…」。重症の場合、カバーに入らなければならない。明朝からは通常の外来診療が待っている。気が休まらない。

 五十一歳、内科医。今年四月から、前院長の退職に伴い、副院長から「院長心得」となった。午前八時半から始まる外来診療は昼すぎまで及び、午後は回診、検査、書類書き…。

 待ったなしで、救急車が入る。一日五、六台の時もある。重症例では、医師が救急車に同乗し、県病(青森市)へ向かう。診療現場は修羅場と化し、時に、“診療中断”を示す赤看板が出る。

 いつ、どんな患者が飛び込んでくるか分からない「野戦病院」−。ある人はそう表現する。

 「きつい。ミスが怖い」。蝦名医師は夜、たまった書類書きをしながら、そう感じる。近年、書類の量は格段に増えた。書類を書かないと診療報酬がもらえない。

「地吹雪が…」と難色

 二年前、赴任したとき常勤医は十人だった。今は六人。一人一人の負担が大きくなっている。

 県内でも特に医師が足りない西北五地区は、人口十万人当たりの医師数が九十八人。全国平均の二百一人、本県平均の百六十四人を大幅に下回っている。

 なぜ西北五が、県内で最も医療過疎が進んでいるのか。

 ある医師は「地吹雪が…」、ある医師は「子供の教育を考えると…」とつぶやく。

 これまで何人かの医師が金木病院を去った。若い医師は専門医療を探究するため県外へ。ある人は開業した。

 「専門志向の医師には、金木病院で一般的な症例を限りなく診るのは、我慢できないのだろう」と杉山讓前院長(68)。

 「四十歳半ばを過ぎると体力的にボロボロになる。当直と長時間の労働時間を強いられる勤務医にとって、開業は自分の経験を生かせるラストチャンス」と、他病院の医師は語る。

 病院は今春、最大の危機を迎えた。医師が次々と退職し常勤医が四人に落ち込みそうになった。

 今年一月から東北で初めて、医師定数緩和の特例措置を受けているが、それでも定数基準を満たせない。救急体制をやめることも考え、市内で同じく救急体制を整えている西北中央病院に相談したが、「大変なことになる」と難色を示された。

「機能再編成早く」

 がけっぷちに立たされた病院を見かね、退職した杉山前院長が嘱託医として残った。弘大が非常勤医の応援を決めた。県の仲介で内科医一人を確保できた。病院は何とか生き残った。ただ、今も綱渡りの運営は続いている。

 蝦名医師は常に、あすはどうなるのかという不安と苦悩、疲労感にさいなまれる。「こんなはずではなかった」と正直思う。

 ただ、中泊町から自分を頼りに通院してくれる人がいる。「先生のおかげで体が良くなった」と笑顔を見せるお年寄りがいる。地域に貢献しているというプライドと使命感が体を支えている。

 「医師不足解消のためには、病院の機能再編成は必要だ。早く取り組んでほしい」と蝦名医師。ただ「金木病院の存在が全くなくなることはあってはならない。病院は地域に必要なのだから」とも語った。

 経費節減のため、間引いて取り付けられた院内の蛍光灯が鈍く光っていた。


地域医療・自治体病院のマネジメント | コメント(0) | トラックバック(0)2006/10/29(日)07:39

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プロフィール

元埼玉県庁の職員。 現在は埼玉県の坂戸市にある城西大学の経営学部の准教授で行政マネジメントを教えています。

伊関友伸

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