尾鷲総合病院 産科医師「退職の儀式はなく、本人からもあいさつもなく、病院を後にした」
元のソースは、中間管理職さんの「勤務医 開業つれづれ日記」からです。
http://ameblo.jp/med/entry-10022493211.html#cbox
ありがとうございました。
貴重な記事を見逃すところでした。
記事を読んで、すごく寂しい気分です。
尾鷲市議会議員は、あれだけ無礼な発言をして、何もしなかったのでしょうか?
【取材メモから 06回顧】
【6】産婦人科医不足問題
朝日新聞 平成18年12月25日
http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000200612250001
【取材メモから 06回顧】
【6】産婦人科医不足問題
朝日新聞 平成18年12月25日
使われなくなった器具類が部屋の片隅に寄せられていた。奥のソファで家族が待機する姿が以前はよく見られたという=志摩市阿児町の県立志摩病院で
◇◆確保綱渡り 研修見直しを◆◇
全国的に産婦人科医師が不足するなか、人口2万2千人足らずの尾鷲市が、この問題に直面した。三重大からの派遣医師が市立尾鷲総合病院から引き上げた後、市が昨年9月に採用した男性開業医(55)の年間報酬が5520万円と高額だったことが話題になった。
男性医師は24時間院内で寝泊まりし、新生児を150人以上とり上げた。その後、今年9月に伊藤允久(まさひさ)市長との交渉で、男性医師は「精神的に疲れ、これ以上できない」と契約解除を告げた。
勤務した1年間の思いや報酬、産婦人科医不足の問題について、私は直接、本人から聞きたかった。しかし、病院事務局を通じて何度も申し込んだ取材は、拒否された。
結局、医師が辞める理由は、市長の言葉から間接的にしか知り得なかった。理由は、昼夜を問わない勤務から年2日間しか休みが取れなかったにもかかわらず、減額の報酬が示されたことや、高額報酬を問題視した議会でのやりとりに不信を持ったことだった。
市民の声を聞くと、妊婦や子どもがいる主婦から、この医師にいてほしいと願う声が多かった。3人の子を持つ妊婦からは「これまでの派遣されてきた先生と比べ、経験が豊富で安心できる」という声も聞いた。
一度も医師に会えないまま迎えた退職日。病院事務局に聞くと、「退職の儀式はなく、本人からもあいさつもなく、病院を後にした」と答えた。地域から熱望されて来た医師の去り際としては寂し過ぎる。
今、後任の野村浩史医師(50)がほかの医師らと同じ待遇で勤務している。来年4月には1人増え、医師2人体制になる。伊藤市長は「後任が見つかったのは奇跡。運がよかった」と喜ぶ。
しかし、喜んでばかりもいられない。地域での医師不足を引き起こした要因に、04年度に導入された新卒医師が2年間経験を積むため自由に研修先を選べるようになった「新たな臨床研修制度」があげられる。
多くが出身の大学病院ではなく、設備などがいい一般病院に流れたため、大学病院が人手不足に陥り、研修後も新卒医師は戻らなくなった。この制度が続く限り、再び医師がいなくなる可能性は常にある。
地域での対応には限界がある。国には、この制度の抜本的な見直しが早急に求められている。(百合草健二)
◇◆「産声を再び」地元の願い◆◇
使われなくなった分娩(ぶんべん)室。扉には鍵がかけられていた。暗い室内に入ると、分娩台と新生児を置く台が隅に片づけられ、部屋全体ががらんとしていた。新しい命が芽生え、喜びがあふれるはずの場所がこんな空虚な空間になるなんて……。せつなさが募り、いたたまれなくなった。
志摩市の県立志摩病院で11月から、常勤の産婦人科医がいなくなった。週2回の婦人科外来だけは残ったが、出産はできなくなった。志摩市や南伊勢町に住む妊婦が出産するなら、前もって入院をしない場合は車で30分以上かけて山道を抜け、伊勢市内の病院に向かうしかない状態だ。
病院に助産師は6人いるが、経験者は少ない。器具を消毒したり、お湯を沸かしたり、常に準備を整えておかないと対応できない。「急に産気づいた妊婦が駆け込んできても、今は断るしかない」と、田川新生(しんせい)院長はあきらめ顔だ。他の病院への転院を希望する助産師もいるという。
同病院の産婦人科をめぐり、派遣元の三重大が今年、医師の引き上げ計画を具体化させた。病院側は抵抗して何度も話し合ったが、結局産科はなくなった。
リスクが高く難しい出産でトラブルが起きた際の訴訟に備えて、最終的に医師の負担をなくすという意味では三重大の論理も確かによくわかる。全国的に産婦人科の勤務医が不足している状況からすると、やむを得ないと思う。
だが、地域を取材すると、住民の志摩病院への期待感が痛いほど伝わってきた。里帰り出産を希望する人が病院に直接不安を訴えることもあったという。「地元住民の多くは、産科がなくなって初めて、ことの重大さに気付いたのでは」と田川院長。
現時点では、県も志摩市も改善策を打ち出せないのが実情だ。だが、病院は独自の産婦人科医探しを続けるという。病院には来年8月、新しい外来棟ができあがる。そこには産婦人科の部屋も機材も設置される予定だ。
田川院長はこうも話した。「いつかはこの地域でお産を再開させたい。とかく暗くなりがちな病院を明るくしてくれる産声が聞こえなくなることが、こんなにさびしいものだとは」。私には1歳11カ月の娘がいる。ひとごととは思えない取材だった。(岩堀滋)
◎産婦人科医の現状 厚生労働省の04年の調査では、全国の医師総数27万人に対して産婦人科医は1万100人。10年間で医師全体が約5万人増えた中、産婦人科医は約千人減少。一方、一人当たりに対する医療ミスによる訴訟の確率は産婦人科が最も高い(04年司法統計)。県内に産婦人科医は144人おり、うち三重大関連は55人(06年9月現在)。6年前に比べ20人減った。志摩病院を含む県内4病院が、同大の医師引き上げで産科休診中。
地域医療・自治体病院のマネジメント
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│2006/12/30(土)11:09
