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城西大学経営学部准教授伊関友伸のブログです。地域医療・自治体病院の経営を中心に、行政やPTAのマネジメントなどについて議論をします。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
今年、最初の書き込みは、伊関が関わった綾瀬市役所の小児科勤務医の仕事軽減のための試みについて紹介したいと思う。
伊関は、平成17年度、18年度と神奈川県の綾瀬市役所の外部評価の委員長を引き受けている。
綾瀬市外部評価
http://www.city.ayase.kanagawa.jp/hp/page000008000/hpg000007993.htm
外部評価は、綾瀬市の行っている事業について、市民を含めた第3者が評価を行うというものである。
平成17年度において、いくつか評価を行ったが、その中に「広域救急医療確保対策事業」という事業があった。
内科と小児科の休日・夜間の時間外診療所の運営経費の負担について、事業担当課と行政評価の事務局と一緒に議論を行った。
綾瀬市の行政評価は、他の自治体の第3者評価と異なり、ミニ議員のような対立関係に立たず、担当課の話しをしっかり聞き、その仕事の問題の本質は何かについて考えることを特徴としている。
当時の議論の状況は平成18年4月4日のブログに書いている。
伊関友伸のブログ:綾瀬市外部評価2(平成18年4月4日)
http://www.pm-forum.org/iseki/archives/2006/04/post_330.html
以下ブログの一部を引用
*****************************
図は、外部評価を行って委員会でまとめた報告書(広域救急医療確保対策事業)の一部である。
外部評価に当たって、綾瀬市役所内の庁内評価委員会が問題としたのは、「休日急患センターの内科の利用状況が、負担金の支出状況に比べて低い。共同運営をする他市に対して、負担金の金額を減らせ」というものであった。
しかし、担当課と議論をしているうちに、問題はもっと別の点にあることが分かってきた。すなわち、この事業の最大の問題は、小児救急の利用が少ない(2次輪番病院の負担が減っていない)ということであった。
このブログでも再三議論しているように、現在、全国の病院で、医師不足により、小児科や産科などの診療の中止が相次いでいる。
綾瀬市周辺の県央地区は、私立の海老名総合病院と相模台病院が2次輪番病院として小児救急医療を担っている。
しかし、2次輪番の中核的な病院である海老名総合病院でも、小児科常勤医が7人から6人に減員された上に、患者は急増し、パンク寸前にあるという。相模台病院でも厳しい事情は同じだ。
周辺市では、2次輪番病院の負担を軽減するために共同し、座間市内に小児救急患者センターを設置している。
しかし、親の大病院指向は強く、利用者である委員の方の話しでは、海老名総合病院の混雑は変わっていないそうだ。
その一方、小児救急患者センターは、未だ比較的すいていて、余裕があるということであった。
(後で海老名総合病院の小児科のHPを見ると、パンク状態なので、小児救急患者センターへの受診を訴えていた)
委員の議論の中で、「親は座間市小児救急患者センターを知らないのではないか」「綾瀬からの案内看板なども分かりにくい」「親への働きかけも少ない」「そもそも親の意識調査をしていない親へのマーケッティングが必要だ」という意見が出された。
2次輪番病院の努力だけに甘えていると、地域の小児救急が崩壊する危険性が高い。
評価担当課は、全くそのような危機感は少ないように感じた。
事業担当課もどのようにして良いか分からないのであろう。
外部評価委員会では、「2次救急医療機関の医療資源に余裕を持たすためにも、更なる1次医療機関への患者の誘導は重要な課題であり、本事業の小児救急患者センターへの患者の誘導が必要」という意見を示すこととした。
綾瀬市役所だけの事業評価では、本質的な問題の発見ができない典型的な例であった。
事務職員は、小手先のコストにしか目が向かない。
そのこと自体が問題である。
********************************
綾瀬の外部評価の場合、評価の結果を次の仕事に反映させることを重視し、一部の事業について、フォローアップをすることとしている。
「広域救急医療確保対策事業」は、その重要性からフォローアップの対象とすることにした。
伊関を含め委員が時間をかけて評価を行って、それでおしまい、何も変わらないのでは、委員をしている意味がない。
「評価をやりっぱなしなら、即刻外部評価の委員長を辞める」という強い意思を明確にした。
綾瀬市役所の担当の方も本気になっていただき、ある程度のフォローアップに取り組んでいただけた。
綾瀬市では、まず、現場の保健医療センター・子育て支援課(保育園・子育て支援センター)・消防署・行政改革推進課4課による課題検討会議を行った。
その上で、課題を
・親の心理としては、かかりつけの海老名総合病院に行く。
・急患時に道に迷いながら、小児救急患者センターには行かない。
・親の大病院志向に対する意識が変わらなければ誘導は出来ない。
と整理した。
その上で、綾瀬市役所として、「海老名総合病院の2次救急医療機関としての体制を保持するためには、1次救急医療機関に患者を誘導する取り組みを市が積極的に実施する必要がある」と方針を定め、それぞれの担当でできることを検討した。
検討の結果、関係課が協力し合い、市内医療機関、市の施設等へのポスター掲示、事業開催時におけるパンフレット配布、市のホームページの改善等、アンケートにおいて、市民が情報源としている媒体を積極的に活用し、小児救急患者センターの周知を図ることになった。
各担当の試みが次の表である。
(クリックをしていただければ大きくなります)
当然、医療機関で働く皆さんから見れば、まだまだ不十分であるであろう。
綾瀬市だけが動いても、他の自治体が動かなければ、海老名総合病院の小児科の混雑は変わらない。
しかし、とりあえず第1歩を踏み出したことは大事なことであると考える。
縦割り組織の市役所が、とにかく小児救急患者センターに患者を誘導しようということで一つになって取り組んだことは、他の自治体でもあまり例がないと思う。
今回の試みに取り組まれた、現場の保健師、保育士、消防士そして事務の皆さんに心から敬意を表させていただきたい。
「広域救急医療確保対策事業」については、平成19年度もフォローアップする予定である。
地域医療・自治体病院のマネジメント
| コメント(2) | トラックバック(0)
│2007/01/01(月)07:00
あけましておめでとうございます。
昨年はお世話になりました。
昨年は、日本の医療界にとっては、最悪な年でしたが。
医者でないのに、井関さんのように、医師の事も、医学界の事もよくわかっておられる人間が日本にもいるって事が、せめてもの救いです。
今年もよろしくお願い致します。
2007/01/02(火)03:20| URL | Dr. I #sSHoJftA [ 編集]
Dr. I 先生、書き込みありがとうございます。
正直、医療を学んだことのない者が、偉そうにこのようなブログを書いていいのか悩みもあります。
ただ、医療人以外の第3者的な人間が情報を発信することも必要かなと考え、ブログを書いています。
ブログを書けば書くだけ、勉強しなければならないことが増えてきており、地域医療の問題の難しさを強く感じています。
一生懸命勉強をしますので、今後もご指導の程、よろしくお願いいたします。
2007/01/02(火)21:52| URL | 伊関友伸 #- [ 編集]
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元埼玉県庁の職員。 現在は埼玉県の坂戸市にある城西大学の経営学部の准教授で行政マネジメントを教えています。
Author:伊関友伸
連絡先 iseki@pm-forum.org
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