暫定税率 延長か一般財源化か 東北の国会議員に聞く

河北新報が、揮発油税など道路特定財源の暫定税率をめぐる自民党と民主党の議論について、2人の東北選出国会議員にインタビューを行い、それぞれの主張を掲載している。


暫定税率 延長か一般財源化か 東北の国会議員に聞く
河北新報 2008年2月17日
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/02/20080218t71011.htm





暫定税率 延長か一般財源化か 東北の国会議員に聞く
河北新報 2008年2月17日

 揮発油税など道路特定財源の暫定税率をめぐる「ガソリン国会」は、衆院予算委員会などで論戦が続いている。暫定税率の10年延長を主張する与党と、廃止を訴える民主党の溝は埋まらず、平行線をたどったままだ。衆参両院議長のあっせんで、3月末までに「一定の結論」を得ることになったが、見通しはついていない。自民党の根本匠衆院議員と民主党の岡崎トミ子参院議員、2人の東北選出国会議員にあらためて議論のポイントを聞いた。
(東京支社・佐藤英博、今野忠憲)

◎道路は地域自立の基盤
自民・根本  匠氏

 ―なぜ道路だけが特定財源になっているのか。

<バランスを考慮>
 「何より、負担と受益が明確だからだ。税というのは所得再配分機能を持つ。消費税とか法人税という形で集めて国民のために使っている。道路の利用者に負担を求めて道路整備に還元する―。これは極めて合理的な財源だ。そして、道路整備のニーズよりも税収が多くなれば一般財源化する。ニーズと税収のバランスをよく考慮しながら実施する。整備のニーズがないのに道路特定財源として取っていれば、予算の硬直化を招く」

 ―小泉元首相は、道路特定財源を一般財源化すると言っていた。暫定税率をさらに10年間延長する理由は。
 「流れとしては小泉さんの言ったように進んでいる。『道路に使うから本来の税率に加えて暫定税率でお願いする』『真に必要な道路を造る』『(多い分は)一般財源化を図る』という3つをセットにして、法改正しようとしている。道路に使わないとなると、本来の税率に戻しなさいということになる」

 ―さらに10年間、59兆円を道路整備に充てることには異論も多い。

<歩道4.4万キロ整備>
 「10年で59兆円という数字は大きく映るが、例えば医療費は年間30兆円、社会保障費で年間90兆円かかっている。道路の10年の中期計画は、地域の自立とか安全・安心などを積み上げたもの。子供の通学路は19万キロあるが、子供が多く危険性が高いところが11万キロもある。そのうち緊急性を要する歩道4万4000キロを10年で整備するという内容だ。中身を見なければ59兆円が多いか少ないかという議論はできない」

 「道路は地域を自立、活性化させるインフラ。日本の製造業が復活し、中国から回帰する現象が出ている。工場立地件数も伸びている。東北は水も多いし空気もきれいだ。それに人間もまじめだ。ぜひ東北に出したいという企業は多い。地元から言ってくるのは、『高速道を整備して競争条件を同じにしてくれ』『地域格差の解消のためにも、立地条件を改善してくれ』という要請ですよ」

 ―民主党は一般財源化し、使い道は地方に任せるべきだと訴えている。

<借金さえ返せぬ>
 「暫定税率をやめると2.6兆円の財源がなくなる。国は1.2兆円を地方に補助してきた。加えて直轄事業の負担金も国が持っている。民主党の言うように直轄の地方負担を廃止してもつじつまが合わない。だから『具体的に対案を示してください』と言っているが、はっきりとは示さない。政治は手品ではない。民主党の主張通りだと、道路ができないどころか過去の借金すら返せない。高速道路を無料化すると、さらに1.5兆―2.1兆円がなくなる計算だ。それでは地方は荒廃、都市は渋滞するばかりだ」

 ―高度医療が必要な急病人搬送のためにも道路整備は欠かせないとの主張に、民主党は医者の確保が先決だとしている。
 「論理のすり替えだ。道路ネットワークがなく、時間がかかりすぎて、急病人が助からないということではいけない」

 ―今後、民主党との修正協議はあり得るのか。
 「これからの話。大事なことはきちんと民主党に対案を出してもらうこと。インド洋の給油新法だって1月になってから対案を出したが、そういうのは言語道断だ」

 ―3月末に「一定の結論」は導き出せるか。
 「一定の結論ということは、いかなる法案であれ、賛否は決しなければならない。両院議長のあっせんを重く受け止めなければならない。いまの税法の特例措置が4月に切れるとガソリンだけではなく、ビニールハウスや漁船の燃料費、輸入牛肉や酒類の値段が上がり、中小企業に打撃を与える。国民生活への混乱があってはならない」


◎地方が政策順位決定を
民主・岡崎トミ子氏

 ―道路特定財源の一般財源化を主張するのはなぜか。

<急務は医師確保>
 「暫定税率は、あくまで暫定の措置なのに34年間も続いてきた。さらに今後10年間、59兆円を道路にしか使えないという硬直的な考え方はおかしい。医師不足対策や医療、介護、子供たちの教育などの政策の優先順位を県民や市民自身が決め、首長はその大事な声を聞いて政策の優先順位を決めていくという姿に変えていくべきではないか」

 「全国の県議らが集まった決起大会で、東北の首長から『山を越えて病人を搬送する3次救急のためにも道路整備が必要だ』との発言があったが、近場にみんなが行ける病院を設置するとか、医師を確保するとか、住民のために急いでやらなければいけないことはほかにもある。民主党は『道路を造るな』とは言っていない。地方が自ら判断することが大事なはずだ。こうした分権改革を進めようとしており、地方が使える財源ももちろん考えている」

 ―暫定税率廃止には、東北の首長たちも猛反発しているが。

<進まぬ分権改革>
 「地方は、『お前の所に予算はやらない』というような国の嫌がらせを心配しているのではないか。従来の陳情型で国にお願いしないと道路などができないというのは駄目だと2000年の地方分権改革で決めたはずなのに、できなかった。さらに10年間、分権改革しなくていいのか。でたらめな税制でいいのか。天下りや特別会計はこのままでいいのか。改革がストップしかかっているのに『道路だけは』という議論には疑問がある」

 ―民主党案には財源の裏付けがないと批判がある。どう説明するのか。
 「地方分権改革は首長たちが求めていたもの。小泉元首相は分権改革の門をけ破っただけ。安倍前首相は改革という言葉だけで中身はまるで伴っていなかった。福田首相は改革も言わなくなった。3代の内閣が何もやってこなかった。民主党は権限も財源も地方に移譲していくとずっとマニフェストで訴えてきている。参院で野党が過半数を占め、民主党が提起したからこそ暫定税率の問題も浮かび上がらせたのではないか」

 ―原油高の対策と税制改革とは別な議論だという意見がある。

<そのままは異常>
 「本来の税率から揮発油税は2倍、地方道の譲与税は1.2倍取っていた。それを見直しもせず続けてきたことが異常だ。地方分権、特別会計という大きな課題もある。そして原油高の影響で、食料品を含めた値上げに直撃されているのは庶民。格差問題も深刻な中で、税体系、税金の使い方をどう変えるかというときに、『10年間で59兆円』という話が出てきて、『おかしいんじゃないか』という点にぶち当たったということだ」

 ―道路財源の一部が国交省の官舎やレクリエーション費などに使われたことも発覚した。
 「言語道断。社会保険庁と同じような体質だ。官僚主導型を政治主導型に変えていかなければならない」

 ―暫定税率を環境税や炭素税に振り替えるという議論があるが。
 「これから1年間かけて制度設計を党内議論するが、暫定税率の廃止を訴えているので、振り替えではなく、『地球温暖化対策税』といった本則に基づく税として実現していくべきだと考えている。低所得者に負担の影響がないよう考えていかなければならないだろう」

 ―「一定の結論」は3月末まで得られるのか。
 「筋として道路特定財源の一般財源化を貫き通して議論をしていく。とことん説明をしながら理解を得ていく。その到達点で、有権者がどういう判断をされるかだろう」

[暫定税率] 特定の政策を実現するため、法人税法や所得税法などで定められた本来の税率よりも一時的に加算されたり軽減されたりしている税率。租税特別措置法などで規定するが、期限が切れると自動的に失効する。延長する場合は改正法を国会で成立させる必要がある。

 揮発油(ガソリン)税の暫定税率は、道路の受益者である自動車利用者に負担を求めるという考えに基づいて導入された。本来の税率よりガソリン1リットル当たり約25円上乗せされている。度重なる延長で30年以上も上乗せが続いているが、3月末で期限が切れる。

 与党は道路整備の財源確保のため延長を主張しており、民主党は原油価格高騰などを理由に撤廃を主張している。

[議長あっせん] 国会審議が紛糾した時、衆参の両院議長が与野党に妥協案を示し、国会運営の正常化を図る手法。中立の立場から議長が仲裁に乗り出し、与野党は「三権の長」の権威を尊重してあっせんが成立することが多いが、不調に終わる場合もある。

 今国会では、暫定税率の取り扱いで与野党が対立する中、与党が税率の期限を5月末まで延長する「つなぎ法案」を提出したため、野党が激しく反発した。衆参議長は1月30日、2008年度予算案と、揮発油税などの暫定税率維持を盛り込んだ税制改正法案などの予算関連法案について「年度内に一定の結論を得る」とのあっせん案を共同で出し、与野党が受け入れた。与党は「つなぎ法案」の撤回を決めた。


ねもと・たくみ 自民党衆院議員(福島2区)。党国対副委員長。安倍内閣で総理補佐官。56歳。
おかざき・とみこ 民主党参院議員(宮城選挙区)。党「次の内閣」環境相。党宮城県連代表。64歳。


行政マネジメント | コメント(0) | トラックバック(0)2008/02/19(火)06:27

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元埼玉県庁の職員。 現在は埼玉県の坂戸市にある城西大学の経営学部の准教授で行政マネジメントを教えています。

伊関友伸

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