【地域医療はいま】小児無料化を疑問視

朝日新聞が、子どもの医療費の無料について疑問を呈する記事を書いている。

軽症なのに気軽に受診する「コンビニ医療」に拍車をかけ、医師の疲弊を招くなどの問題を指摘している。


【地域医療はいま】小児無料化を疑問視
朝日新聞 2008年04月28日
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000240804280001





【地域医療はいま】小児無料化を疑問視
朝日新聞 2008年04月28日

医師「患者増え 救急崩壊」

●制度の拡大路線に警鐘

 少子化対策として子どもの医療費を無料にする地方自治体が多い。財政が豊かな愛知県は全国トップレベルの手厚さだ。だが小児科医の間から疑問の声が上がり始めた。軽症なのに気軽に受診する「コンビニ医療」に拍車をかけ、医師の疲弊を招くなど、救急医療の崩壊につながりかねないというのだ。(岡崎明子)

 名古屋市に住む主婦(44)は2月下旬、娘(9)のせきが止まらず、夜間に救急病院に連れて行った。診断は肺炎で、即入院。4日間入院したが、市の無料化施策により約6万円の自己負担は無かった。「先生にもっと色々と聞きたかったけど、忙しそうで遠慮してしまった。周囲には子どもに学校を休ませたくないから夜間救急を利用するという親もいる。無料化はありがたいが、それが気軽な受診につながっている面もあると思う」と話す。

 愛知県は73年度、患者の窓口負担分に公費を投入する形で0歳児の小児医療費の無料化を始めた。昨年度までは4歳未満の医療費を無料にしてきた。07年に3選を果たした神田真秋知事の公約で、08年度からは通院は小学校入学まで、入院は中学校卒業までに拡大した。さらに、市町村の約7割は県の施策に独自に上乗せしており、通院の場合、全体の約5割が小学校卒業まで、約3割が中学校卒業まで無料だ。無料化のための08年度予算は、約78億円。大阪府の約39億円、福岡県の約27億円を大きく引き離す。

 しかし、救急を担う医師らは疑問の目を向ける。
 昨年末、名古屋大など4大学の小児科教授が集まった会議で、「小児の医療費無料化が患者増を招き、救急の現場を圧迫しているのでは」と話題に上った。

 愛知医科大の縣裕篤(あがた・ひろ・あつ)教授によると、同大病院小児科の時間外救急の受診者は、97年の2380人から07年は2・5倍の5928人に。07年に入院に至った子は5%に過ぎなかった。「重い患者を診るべき3次救急が軽症患者への対応に追われると、本当に救急治療が必要な子が見落とされたり、医師が疲弊して救急現場を離れていったりする可能性がある」と指摘する。

 豊橋市で開業する大谷勉医師は、小児の医療費無料化は夜間や休日に受診する患者が増える一因だと、愛知県医師会の雑誌に投稿した。「県は制度を拡大するだけで医療機関をサポートしていない。一部有料化も仕方ない」と話す。

 埼玉県職員の多田道之さんが政策研究大学院大学で行った研究によると、窓口での支払いがまったくない制度の場合、無料になる年齢の上限を1歳引き上げると受診者は約8%増える。軽症患者を減らそうと、埼玉医科大総合医療センターは6月から、夜間や休日の軽症患者から一律8400円徴収する。

 無料化は収入が少ない家庭の子が医療を受ける機会を保障してきた。ただ、愛知県の担当者は「無料化と時間外患者増加の関係を示すデータはないが、救急病院にかかる患者のほとんどが軽症なのは確か。さらに啓発していきたい」と話す。

 名古屋大小児科の小島勢二教授は「無料化もいいが、小児医療充実のためには医師の確保やワクチン接種の補助などもっと優先順位の高い課題がある」と指摘する。

 愛知県内の小児科医は人口100万人当たり101人。全国平均より13人少ない。


地域医療・自治体病院のマネジメント | コメント(1) | トラックバック(0)2008/05/02(金)22:49

コメント

小児科1年で58ヵ所減 長崎、鹿児島11減 医師不足、少子化響く 07年度九州7県

九州7県で小児科を持つ病院や診療所の数が、2007年4月から08年4月までの1年間で計58カ所減ったことが、西日本新聞のまとめで分かった。7県すべてで減少し、福岡、長崎、鹿児島では10カ所以上減っている。小児科の医師不足や、少子化で採算が取れなくなってきたことが背景にある。一方で、内科を持つ医療機関は7県で計35カ所増えており、先細りする小児医療の実態があらためて浮き彫りになった。

 西日本新聞が九州各県の社会保険事務局に問い合わせたところ、07年4月1日時点で小児科を持つ医療機関は計2841カ所あったが、08年4月1日現在では計2783カ所に減少していた。

 病院(20床以上)と診療所(19床以下)の区分では、病院が6カ所、診療所が52カ所減った。県別の減少数は、長崎、鹿児島=11カ所▽福岡=10カ所▽熊本=9カ所‐などだった。

 小児医療をめぐっては、病院勤務医を中心に労働実態の過酷さが指摘されている。緊急性の高い患者が対象の時間外診療に、仕事を持つ親の事情で昼間に受診できなかった子どもが多数来院。子どもの病気は軽症と重症の判断が難しく悪化すると進行が早いため、深夜に呼び出されることも多いなど拘束時間は長いが給与は高くない。

 このため、新人医師が研修先を自由に選べる「新臨床研修制度」が04年に導入されて以降、小児科を志望する研修医が急減。地域の病院に医師を送っていた大学病院の小児科医局は人手不足に陥った。小児科医の集約化を図るため、大学病院が派遣医師を引き揚げる動きが九州でも目立っている。

 小児科医の確保が難しいことに加え、経営判断からも小児科を廃止・縮小する医療機関もある。福岡県のある病院の小児科部長は「小児科は診療報酬が低く、手間がかかる割に検査や薬の量が少ない。以前から不採算部門の代表格だったが、少子化が拍車をかけている」と語る。

 日本小児科学会理事も務めた原寿郎・九州大大学院教授(小児科学)は「九州の小児科が1年で58カ所も減ったとは驚きだ。小児科の診療報酬は手厚くなりつつあるが、実態に見合わない。このままでは小児科以外の医師が子どもを診療せざるを得ない状況に陥りかねない」と話している。

=2008/05/02付 西日本新聞朝刊=

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/20006

2008/05/05(月)20:37| URL | ハンドル名未入力 #- [ 編集]

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元埼玉県庁の職員。 現在は埼玉県の坂戸市にある城西大学の経営学部の准教授で行政マネジメントを教えています。

伊関友伸

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